あまい、あまい (Page 2)

「…気持ち悪いんだろ、男と付き合うのなんか」
「いや…それは、売り言葉に買い言葉ってやつで…」

弁解してみたけど、レンさんはもうほとんど聞く耳を持っていない。
すねている、なんて生半可なもんじゃなくて、明らかに何かを決意しているのが、その表情から見てとれる。

小さく息をついて、レンさんが重い口を開く。

「もう、別れよう」

どんよりとした空気が流れて、その瞳にはうっすら涙が滲んでるように見えた。
レンさんを傷つけるために言ったんじゃないのに。
こんなことになってしまうなんて、思ってもみなかった。

荷物をまとめて、レンさんが立ち上がる。
その腕をぎゅっとつかんで、カフェを後にしようとしたレンさんを止める。

「ほんとに、それでいいんですか?」
「…え…?」

一瞬、その瞳が揺れた。
本気じゃない、レンさんだって、このまま離れ離れになることなど、望んではいないのだと悟った。

「…別れるっていうなら、俺の気持ち、ちゃんと受け取ってからにしてください」

まっすぐに見つめたら、わかった、と小さな返事。
俺は人目もはばからず、その手をぎゅっと握って、店の外に出た。

*****

「ちょっと…ユウタ、な…っん!」
「レンさんが悪い。俺の気持ち、全然わかってくれないんだもん」

自分のアパートの部屋に着くなり、レンさんをベッドに押し倒した。
今まではちゃんと、シャワー浴びて、ムードを大事にして…ってやってきたけれど、今日はもうそんなこと言ってられない。

「…んん…っ」

乱暴に口づけて、その手首をシーツに縫い付けるように強く押し付けた。
いつもみたいに優しくなんて、してやるもんか。

飲み込み切れない唾液が、二人の唇の端からこぼれる。
いつもより少し熱く感じる舌を吸い上げて、口内を丹念に舐めまわしてやる。

焦ったような表情を浮かべていたのもつかの間、レンさんの頬はもう既に赤く染まって、息があがっている。
そんな表情見せられたら、なおさら自分の感情を抑えられなくなってしまう。

「…俺が、どんだけ好きか、レンさんは全然わかってない」
「え…っ」
「俺が、今までどんだけ我慢してきたか、ちゃんとわかってる?」

制止するように名前を呼ばれたけれど、聞いてなんかやらない。
シャツを胸のあたりまでまくりあげて、その胸の突起に音をたててむしゃぶりついてやった。

「…っ、あ、ぁ!ユウタ…っ」

俺よりも華奢なその肩が、びくりと跳ねる。
太ももの上に乗っかって、逃げることすら許さない。

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