僕らの青春、色違い

・作

同い年、幼馴染み、クラスも同じ、家も隣、親同士も仲がよい、小さい頃から成長を共にしてきた小出と三木。二人は学園生活で青春を謳歌する日々を送っていた。しかし、小出は気付いてしまう。青春とは雨の中を歩くように迷いのあるものでもあり、流れに任せて進むこともあるが、自分で選択しなくてはいけないこともあると…。

汗ばんだ首筋を伝う雨が、やけに色っぽくて。

 

響き渡る水音に快楽を泳がせて、ただただ青春の時間を共に過ごした。

この思いを忘れることはないだろう。

 

「小出!」

眩しそうな笑顔が太陽とともに光を指す。
三木は小出と出会えて本当によかったと思った。

彼はそこ抜けて明るいし、たまに見せるいたずらっぽい顔がとてつもなく愛らしく感じた。

――――三木は俺の幼馴染、親友。

いつしか、とても近い存在になっていた。

だが、そんな純真な気持ちも、思春期という一文字で、関係の変化が訪れるのだ。

 

バス停でいつもの帰りのバスを待つ。
今日は、青々と映える空と、緑の木々のコントラストが眩しい日だ。

「あーあつい」

予報では、気温は31度を超えている暑い水曜日だった。

三木の首筋から水滴が垂れるのが見えた。

―――汗だ。

白いえりに向かって垂れていく汗がやけに色っぽくて、衝動的だった。

うつむいて、バスを待つ首に唇を落とした。

「え、っなに?小出…」

眩しく指す強い日差しの中、メガネ越しに三木のおびえた熱い瞳をみつける。

背筋がゾッと凍るような感覚と、指の先から頭までが痺れる感覚を感じる。

「三木は女の子が、好き?」

「え…うん―――」

三木が言い終わる前に唇を食べるようにふさいだ。

「こ…っや…っこい…っで…ッ」

バス停は木陰に隠れた、人通りの少ない涼しい場所だった。

拒否しようと胸を叩き、必死に自分の手を振りほどこうとする三木だが、ひとまわり大きい自分から逃れることはできないことを、小出は知っていた。

三木の体をがっちりとホールドし、二人の距離をさらに縮める。

唇が離れ、肩で息をする姿に気付くと、思わずやさしい笑みがこぼれた。
じっと顔をみつめられると、三木はつぶやく。

「…怒れ、ないじゃんか」

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