背徳が愛を乞う (Page 5)

ヒロヤからの口淫を受けながら、情けない…とマサルは自分の不甲斐なさを責めていた。
そんなつもりはないと言っておきながら、ヒロヤに懐柔されてしっかりと感じてしまっている。
元教え子に、口淫させている…。
その背徳感すらも、刺激になってしまっているようで、マサルはキュと下唇を噛んだ。
そういう背景だけで激しく欲情しているわけでもなくて、単純にヒロヤの口淫が上手いのだ。

マサル自身、これまでにゲイ風俗を利用したこともあれば、想いあって体を重ねた相手もいた。
豊富ではないが、それなりに経験はあった。
その中でも、ヒロヤはかなり上手いのだ。
ヒロヤのテクに感じさせればさせられるほど、マサルは彼のこれまでの人生を想像してしまう。

こうなるまでにどれだけの――…

「ひゃっああっ」

不意打ちのように根元にぶら下がっている袋を口に含まれて、マサルは悲鳴じみた声をあげた。
アメを転がして遊ぶみたいに、舌先を器用に使いながら右、左、と刺激を与えられて、ゾワゾワと腰が浮くような快感に襲われる。

「せんせー。今、他のこと考えてたでしょ」

「っえ!?ああっ…ムラタ、それ、ほんとちょっと…っ」

「集中しててよ。今は俺のことだけ、考えてて」

むしろ、君のことを考え過ぎてたんだよ…

と、言いかけてグッと言葉をのんだ。

「は…あの、ムラタ…は、この仕事…長いっの?」

チュウと吸いついていた口元を離して、今度は手で両方の玉を撫で転がしながら、ヒロヤは言う。

「まだ1年ぐらいだよ」

ボソリと呟いてから、ヒロヤは竿を扱いている手の指で先端に触れた。
すでに先走っていた精を指先で塗り広げるように、グリグリと鈴口をいじめて、マサルをジッと見る。

「まぁ…オトコノヒトとの経験は、もっとずっと前から…だけどね」

ドクっとマサルの心臓が強く鳴った。
ヒロヤの織り成す空気に、そのテクニックに、完全に心を奪われた瞬間だった。

ギュッと袋を握って、ヒロヤは優しくそれを手放した。

「ん、ここも硬くなってきたね。そろそろ、イキたいでしょ」

「あ…ごめん、ね。こんなつもりで、きたわけじゃ…なかったんだ、ほんとに」

「せんせーが謝ることじゃないよ。“こんなつもり”にさせるのが俺の仕事だから」

その言葉に、マサルの中にあった一握の理性がハラリと崩れ去っていった。

ヒロヤは再び、マサルの自身を口に含むと、上下に動かしだした。
さっきまでのいやらしく、優しく、ねっとりとした口淫ではなくて、激しく責めてくるその刺激に、一気に吐精感がおそってくる。

「ああっ…イクっ‥」

我慢なんてできるはずもなく、マサルはヒロヤの口の中へと精を放った。
ドクッドクッと、己の欲がヒロヤ目がけて吐き出されているさまに、ズキンと胸が傷む。
最後まで口の中でしっかりと受けとめてから、ヒロヤはチュブリ…音を立ててマサルのモノを口から離した。
ツー…と口の端から垂れた白濁が、首筋まで伝い落ちていく。
たった今欲を放ったばかりなのに、白濁を滴らせたヒロヤの姿にまたズクリと熱が集まっていくのをマサルは感じていた。

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