始まりの予感 (Page 3)

「ははっ、べんきょー、な、るわッ…あッ!」

「…勉強?」

「つぎ、おんなとヤッとき、のおッぉんんん~~~~!?」

 さっきよりも速いスピードで、奥をたくさん突かれる。

 喘ぎ声が止まらず、頭も回らない。

 気持ちいいこと以外、なんもわからない。

「女となんか一生やらせないっすよ」

「あっ、アッ…んぁ!」

「教え込んであげますよ。俺の味と形を」

*****

 うぅ、身体が重い。

 重すぎる。

 重い身体を頑張って起こすと、見慣れない部屋に瞬きをした。

 モノトーンで整えられた綺麗な部屋に首を傾げる。

「ここどこだ?」

 口にした時、視界の端っこで誰かが姿を現した。

 顔を向けると、後輩の海斗くんがコーヒー片手に近寄ってくる。

「おはようございます、先輩」

「お、おはよう…。ここお前の部屋?」

「そうです」

「…綺麗だな」

「普通っすよ」

 海斗らしい部屋だと思う。

 クールなコイツらしい。

 でも、なんだろう。

 何か大事なこと忘れてるような、何かが頭の中で引っかかる。

「先輩もコーヒー飲む?」

「え? あ、ああ。いただ──」

 一瞬で近づいた海斗に思考が停止する。

 後ろにまわった手に頭を押さえられ、反対の手が俺のあごをつかむ。

 重なる唇から開いたままの口内に、ぬるい液体が流れ込む。

 ──ゴクッ

「っは…? え…?」

「美味しい?」

「え、わかんな…」

「じゃあもう一口」

 海斗はマグカップに口を付け、口の中にコーヒーを含む。

 俺の頭にもう一度手をまわして、口移しでコーヒーを流し込んだ。

 ──ゴクッ

「…ッは、え?」

「美味しい?」

「え、わかるわけ…」

「じゃあもう一回」

 海斗がマグカップに口を付けるのが目に入って、ハッとする。

「ま、待て待て待て!!」

「…どうしたの?」

「それはこっちのセリフだ! く、口移しなんて何考えて!」

「キスしたいから」

「へ? ならわざわざコーヒーなんか使わないですれば…ッんんっ!」

 また頭を押さえられ、唇が深く重なる。

 開いたままの口内に入るのは、コーヒーよりも熱いぬるっとした舌。

 爽やかなコーヒーの匂いに、海斗の匂いだと、ふと思う。

 …は?

 口移し?

 キス?

「んっ、あっ、ふぁぁ」

 くちゅっと唾液の絡まる音が聞こえて、まぶたをあげる。

 整った顔立ちが目の前にあり、うっすらと開いた海斗の瞳がバチッと合い、鼓動が強く打つ。

 海斗のまぶたが落ちると、肩を引かれて唇がさらに深く重なる。

 巧みな舌使いに俺の思考はまた停止。

「あふっ、ふっん…へぁ…」

 こんな甘くて、ねっとりとしたキスをするのは初めてだ。

 もっとしていたい。

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