その声で抱いて (Page 3)

 

準備してきた、と言った通り、マコトの後孔はすでに緩くなっていて、ローションで濡らした男の指をすんなりと受け入れてくれた。

「あっぁんんっいっ…ひゃっんぁっは…ああ、」

ベッドの上で膝立ちの体制で、背面から抱きかかえるようにして後ろを弄ってやれば、マコトは宮に両手をついてためらわず快感の声を漏らした。

 

顔が見えない分、マコトの興奮度が増しているのが手に取るようにわかる。やはり複雑な気持ちは拭いきれないまま、男はマコトの耳を軽く甘噛みした。

「マコ、気持ちいい?」

ビクッとマコトの身体がしなる。

「ひゃぁっ…ん、あぁっ…キモチ、イイっおにいちゃん!」

一瞬、男は指の動きを止めた。

 

なるほどね…と冷静に納得している自分と、マコトの眼中にまるっきり自分の存在がないのだという事実に怒りとも悲しみともとれない熱い感情がこみ上げてきていた。

「ぁ…ね、指、止めないで」

こちらを振り返ることはないまま、マコトが苦しげに言う。

「…ん、ゴメン。マコ」

苦笑して男は謝ると、止めた指を再び動かしてやりながら、腰元から前に回した腕でマコトのたかぶった雄も扱いてやった。再び、マコトは甘い声で鳴き出した。

「やぁっああっ、んっぁっあっイク、イキそ…」

「いいよ。マコ、イって」

耳元でそう囁けば、呆気なくマコトは果てた。

 

はぁはぁ…と上体を上下しながら荒い呼吸を整えているマコトを後ろから軽く抱きしめてやって、男は言う。

「マコ、いい?続き、しても?」

「んっ、ちょうだい、お兄ちゃんの」

了解、と頷いて、男は片手に取った避妊具の外袋を器用に口で破ると、素直に反応している自身に装着した。ピタ、とマコトの後孔にあてがいながら、一応男は聞く。

「バック、がいいんだよね?」

「…うん。ごめんね」

途端に冷ややかな声。男が男としてマコトに接しようとすると、急に跳ね除けられる、そんな感じだ。あくまでも、マコトのことを「マコ」と呼ぶ、彼のイメージしている「お兄ちゃん」でいなければいけないらしかった。

 

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