運命のアルファの面影を追いかけて (Page 2)

*****

陽平の番になり、そのまま同棲も始めた。

しっとりと柔らかな唇が優しく呼吸を奪う。

オレはかなりの近眼で外ではコンタクト、家ではメガネをかけて生活している。

裸眼では建物の段差もわからず、日常生活もままならない。

だから基本は裸眼でするセックス時はあまり何も見えていない。

陽平の動きや仕草…顔ですら。

同棲を始めて一緒に発情期を迎えてくれて、もう何度目かのセックス。

唇の弾力や柔らかさを味わっていると、ぬるっと生温かい舌が入り込んできた。

舌の輪郭や表面の触り心地。

頬裏や歯ぐきなどを覆う粘膜や湿り。

歯の並びや形。

それらを堪能するように、少し遠慮がちに舌を動かした。

「んっ…ふっ」

自分のとは違う舌の湿りやザラつきを感じただけで、下半身の体温が急激に上昇するのを感じた。

ぎこちなくも優しい口付け。

発情期で火照る体にとって、それは欲情を刺激する要素にしかならなかった。

欲望に駆られるまま、輪郭がぼやけている裸の肢体を抱き寄せる。

「もう入れてくれないか」

少し上の耳元へ静かにねだると、オレに跨がる体がピクッと跳ねる。

「早く欲しいんだ…お前の熱が」

畳み掛けるように一言加えた直後、下半身に異物感を覚えた。

「ひぃぁっ…!」

官能的な痺れや熱さに、思わず声を上げた。

チクッと鈍く痛みもしたが、それ以上に内壁を擦られる快感の方が大きかった。

『濡れてるが、まだ少し狭いな』

(オレを抱いているのは奏也、オレに触れているのは奏也の指先や唇)

裸眼でぼやける視界の中、自分にそう言い聞かせながら目の前の陽平の姿を奏也にすり替えた。

異物の正体は奏也の指先で、入るか確かめたんだとその言葉でわかった。

「大丈夫だ。今のオレは発情期で、受け入れる準備はできている」

『それでもダメだ…痛い思いはさせたくない』

そう言うと、奏也はオレの体へ口付けを落としていく。

唇から首筋、そして平らな胸元と下降していく。

「…オレは処女じゃないぞ」

まるで生娘を犯すような丁寧な扱いに、恥ずかしさすら覚えた。

柔らかな唇がリップ音を立てながら、オレの肌に触れる。

ゆっくりながらも上半身から下りた唇は、下腹部や太ももを撫でていた。

「っ…はぁっ」

男として悦楽を感じる中心部の肉が。

男の熱を受け入れる結合部が。

唇の湿りや弾力を皮膚の薄い部分で味わう度に男女の肉欲がウズウズして、それが満たされる期待感や興奮に徐々に胸が高鳴った。

(早く…早くもっとちゃんと触ってくれ。そして、入れてくれ)

しかしそれは、すぐに熱を解放しなければならないという焦燥感をも与えた。

(そんなに待てない)

目の前にあるだろう下半身へ手を伸ばし、筋肉質な肌を這わせて体の部位を探ればすぐに核心部へ触れた。

核心部の肉は高い熱と、折れないほどの芯を含む硬さを持っていた。はっきりと顔を出しているであろう、亀頭の鈴口からは先走りが滴っているのすら感じ取れた。

「お願いだ…早く、これを入れてくれ」

触れている手へ力を込めて時折ピクリと震える肉の棒を軽く握り、奏也の性的欲求を煽った。

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