神様の言う通り (Page 3)
え…!!
「この神社は霊能力のある者や代々神に遣える者にしか見えない。よってたまにしか来ない来訪者には特別に願いを叶えてやっている」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」
「なんだ」
「え、えっと…さっき『頭を撫でた』とか言ってましたけど、もしやあなたは先程そこにあったこま犬様…なんですか…?」
「犬ではない、狼だ」
不服そうな顔でそう言い放つ彼に、マジか…と信じられない気持ちもありながらもどこか冷静になる自分もいた。
昔から、他の人より少し霊感というか不思議なものを感じとることが多かった。
お墓とか、霊のスポットとかを通るととなんとなく身体がザワつくとかそんなレベルだったけど。
あと、父さんは普通のサラリーマンだけどじいちゃんのじいちゃん辺りの代までは、宇賀神だけあってよくわからんが氏子系の仕事もしてたらしい。
「狼…」
「そうだ。こま犬などの式神を置く社(やしろ)もあるが私レベルであれば式神を置かずとも自分の社は自分自身で守れる」
「そ、そうなんですか…」
まぁこんな小さい神社だしな。
「大きい小さいは関係ない。私は自分の意思で式神を置かぬのだ」
「えっ」
「なんだ」
「今、俺声に出してました…?」
「出さぬとも顔に出ている」
な、なんだ…神様だから考えてることがわかっているのかと思った。
「して宇賀神の泰人よ」
「わぁ?!」
神様の顔がずいっと近付いてきて、思わず後ずさる。
なんか神様だと理解するとすごく神々しいお顔に見えてきた。
まぁなんというか…美形というかなかなかお目にかかれないレベルのイケメンではある。
「騒がしい奴だ…先ほどの願い、どれか1つに絞れ。」
「え…」
「1つなら叶えてやれる」
「え、え、えー!!ホントですか?!!!」
や、や、やったーーー!
俺、人生で初めての幸運をゲットしたのでは?!
霊感強くてよかったー!
宇賀神でよかったー!
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