王族の子を産むことになりました。
ヒースが暮らす国には男妊(だんにん)といわれる妊娠ができる体質の男性が居る。ある日ヒースは自分が男妊であることを知り、我が国の王族であるキール王太子の男児のお世継ぎを産んで欲しいと言われ、お金のためと承諾したが――。
「…君が僕の男妊(だんにん)なのかい?」
すっかり眠りこけていた俺は肩を揺さぶられ、起こされる。
眠い目を擦り、相手をよく見ると我が国の王子、キール王太子だった。
言葉が出てこない。
キール王太子のお姿はテレビや新聞でしか見たことがないからだ。
「えっ、えっ…」
*****
この国には妊娠することができる男性が居る。
それは生まれ持った体質で、そういった男性のことを男妊と呼ぶ。
その男妊が妊娠をすると必ず男児が生まれる。相手も男性だった場合に限るが。
俺が男妊だと知ったのはほんの半年前のことだった。
とある診療所から手紙が届いた。
その内容は無料で健康診断を受けられるというものだった。
俺は無料なら、という軽い気持ちで健康診断を受けてしまったのが運の尽きだった。
キール王太子の子供は3人居るが皆、女の子。そのためお世継ぎが必要な立場だ。
そこで男妊が必要とのことだそうだ。
もちろんこのようなことはトップシークレットだ。
生まれた男児はキール王太子と王太子妃との子として育てられる。
俺は生まれた男児を抱くことも許されない上、男妊の素性を明かしてはいけないという理由でキール王太子に会うこともできず、無事に出産を終えたらこの屋敷を追い出される。
しかし絶対に口外してはいけない、という条件の他には俺が死ぬまで生活に困らないほどの金銭的な援助を与える。というものがあった。
俺は貧乏育ちだ。
ここに来る前までは薪割りの仕事をしていた。
明日どころか今日の飯にすら困ったことがあるくらいだ。
すべてはお金のためだ、と俺はキール王太子の男妊になることを承諾した。
*****
「うぅっ…うっ…!」
男妊になって1番辛いことはキール王太子の精液といわれるものを3人のメイドの前で秘部に注入されることだ。
これは間違いなくキール王太子の子である。という証人を作るためだと聞いた。
だからと言って3人もの女性にじっくりと秘部を見られ、精液をきちんと注入できたかまで確認されるなんて屈辱的だ。
それにいくら男妊だからといって1回で妊娠はできない。
すでにここに来て4回試みたが妊娠できなかった。
「はい、今日はゆっくり寝ていてくださいね」
メイドがそう告げると部屋から出ていき、外側から鍵を掛けられる。
最近のコメント