王族の子を産むことになりました。 (Page 4)
医師の言葉に周囲の人達が慌てふためく様子がなんとなくわかる。
ああ、妊娠したのか。
どっち…なんだろう。本当にセックスしてナカに出された方?
でも今はすごく具合が悪いんだ。寝かせてほしい。
俺は再び目を閉じた。
*****
「ヒース! ねぇ!」
次に目を覚ましたときにはキール王太子が居た。
今はいつもの内緒の時間なのだろう。
「…うぅ…ん」
「…ヒース、ありがとう」
「ごめん…今日で会うのは最後にしてくれないか?」
不意に出た言葉。
「俺はこの子を抱くこともできない。…辛いんだ。ここも追い出されて俺の存在なんてなかったことにされる。…だから俺のことは忘れてくれ」
これが俺の本音だ。
…いや、違う。もう俺は恋をしていたのかもしれない。
だが俺はそんな立場ではない。もっと辛くなるだけだ。
…それを聞いたキール王太子は静かに涙をこぼしていた。
Fin.
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