犯され願望~最終下車は甘々痴漢プレイ~
1年前、電車内で集団痴漢に遭った大学生の響。それ以降彼は“犯され願望を抱く変態”となり、自ら痴漢してくれる相手をマッチングアプリ内で探していた。そんな響が投稿した内容を見て姿を現したのは、以前自分を犯したオヤジたち。久しぶりの痴漢プレイに心躍る響だったのだが、【駅弁】状態で乱交している最中…1人の青年がやってきて――。
「僕も2次会に行きたかったなぁ…。せっかく女の子と飲めるチャンスだったのに」
昨年の夏。20歳になった記念に仲間たちと開いた宴の帰り、僕――貝森響(かいもりひびき)は悲壮感に暮れていた。
自分を含め彼女のいない友人は、飲み会こそ勝負所。でも女の子たちは僕に向かって『本当に20歳?』だとか、『弟みたい!』なんて言うモノだから…こちらが恋愛対象として見られていないのは明らかだった。
(服装、失敗しちゃったかなぁ…。)
日中の気温が35度を超える猛暑日。身長165cm――ヘタしたら女子よりも小さな僕が選んだコーデは、黒Tシャツに膝下丈のベージュ色カーゴパンツ。これに友人は『お前、本気で彼女作る気ねぇだろ…』と呆れる始末。
(どうせ僕なんてただの引き立て役なんだ…)
その考えは大当たり。みんなはそれぞれ気の合った女の子を捕まえてバーへ旅立ち…1人取り残された僕は、駅までの道のりを猛ダッシュで戻る羽目に陥っていた。
*****
「間に合ったぁ…!!」
終電ということもあり、僕の家がある美林ヶ丘(びりんがおか)へ向かう車内は、酔っぱらったおじさんたちでひしめき合っていた。
(苦しいし、暑い…おじさんたちのお酒と汗の臭いで、クラクラしてきちゃうよ)
襟元や腋下から醸し出される彼らの加齢臭に、アルコールやタバコの臭いが加わり…僕自身の酔いもピークに達してしまえば、車内は地獄だった。新鮮な空気を吸おうと、おじさんたちの贅肉(ぜいにく)を押しのけながらなんとかドア近くの手すりを取る。
(ここなら少しマシか。でも美林ヶ丘まであと30分もあるよ…それまで僕の身体、もってくれるかなぁ)
吐き気を催した身体は元に戻ってくれず、このまま嘔吐(えず)いてしまいそうだ。
「――スゥー…――スゥー…」
(さっきから後ろの人、様子がおかしいな…どんどん近づいてきてない?)
最初は気のせいだと思った。いや、“思おうとした”というのが正しいのかもしれない。背後に立つおじさんの荒い鼻息が、僕の肩にやたらと掛かるのだ。
(なんだか気持ち悪いなぁ。このTシャツ襟ぐり深めだから、中が見えちゃってるかも…)
暑さに負けた僕は飲み屋から出る前、Tシャツの下に着ていたインナーを脱いでいた。つまり、この下は素肌なのである。それを見透かしたように背後の人物の視線は、胸元に注がれている気がした。
(僕に限ってそんなこと…)
おじさんが僕を狙うハズがない。“最近は男性でも危険”だなんて話をよく聞くが、何の魅力もない僕がその当事者になるなんて有得ない。そう信じ込もうとしたとき。
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