すれ違いの愛 (Page 3)

*****

ふと、深夜に目が覚めた。
喉が渇いていたのでキッチンで水を一杯飲む。
春の部屋の電気はこんな時間なのに付いていて中から物音がする。

「春、もう少し静かにしてくれ」

ドア越しに伝えるが無視しているようで状況は変わらない。

「春!」

腹が立ち、ノックもせずドアを開ける。
そこにはスケスケの生地で作られていてスカートの丈も意味がないのではないか、と思うくらい短い黒いメイド服姿の春が一生懸命ダンボールに荷物を詰めていた。

「…まさか本気とはな」

また無視され、なにも答えてくれない。

「ここ出てどうするの?」

春は大学生だ。引っ越し費用だって安くはない。

「……彼のところよ」

ようやく口を聞いてくれたと思ったら衝撃的過ぎる言葉が耳に入る。

「はっ…はい?」

「雅紀、気が付かなかった? 私、浮気してるの。雅紀なんかよりもずっと私のこと好きで居てくれるし、私のことたくさん知ってくれてるの。…エッチだっていっぱいした」

思わず頬を思い切り平手打ちしそうになるような衝撃だった。

「雅紀はっ…本当に私のこと、好きだったの?」

屈辱的だった。
俺は俺なりに春を愛していた。でもそんな受け取り方をされていたなんて。
頭が真っ白になる。

「私は雅紀のこと好き、大好き」

…目も合わせてくれない
ただ黙々とダンボールに荷物を詰めていく春。

「だったら…」

「ねぇ、最後にひとつ私のワガママ聞いてくれる?」

顔を上げ俺の顔をじっと見る。

「私とセックスして」

*****

「あっ…やんっ…」

春はこうやって女もののTバックショーツ越しにフェラチオされるのが大好きだ。
唾液をたっぷり染み込ませて愛撫してやる。
ショーツ越しなのに酸っぱい味がするほどたまらないらしい。

「ああん…ご主人様ぁ…」

ご主人様とメイドの秘め事、という設定だ。

「紅茶の入れ方を間違えた罰だ…スケスケメイド服の刑に処するっ…」

「ひゃっ…! ごめんなさい、ご主人様…どうしたら許してくださりますか?」

「本当にそう思っているのか? …乳首ビンビンだぞ…?」

「……ごめんなさい、やっぱりできない…」

急に我に返った口調で言ったと思ったら、しくしくと静かに泣きだす。
やがてその場にうずくまり、呼吸が速くなり苦しそうに息をする。

「おっ、おい…」

「一方的なセックスって…はっ、はぁっ…こんなにっ、悲しいっ…んだねっ…まっ、雅紀ぃ…好きぃ、いやあ…! ごっ…ごめんなさいー! あああっ!」

悲鳴を上げ、呼吸はゼイゼイとさらに激しくなって自分の爪で胸をかきむしり、俺に対する不満を口にしているようだが、何を言っているのか聞き取れないくらいだった。

「春…ごめん、愛してるよ」

もう遅いかもしれないけど、抱き起して強く強く抱きしめる。

「だからそんなこと言わないでくれ…」

Fin.

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