課長、部下のお願いきいてくれますか? (Page 2)
そこにおいてあったうす緑色のバイブを、ぱっと手に取った。
こんなの初めて持つけど、新品なら衛生的にも大丈夫だろう。
「こんなの、女の子とエッチするときも使ったことないよ…はは、すっげぇ」
葛西が気にしないようにっていう意図での、俺の言葉だった。
アルコールのせいか、恥ずかしい気持ちや部下に対する面子とかも気にならなかった。
自分の性生活だなんて、いつもよりあけすけなことでも話してしまえる。
「どんな感じなんだろうなぁ。やっぱり本物より硬くて気持ちいいのかなぁ」
俺だって、アダルトグッズに興味がないわけじゃない。
なんなら買い取ったっていい。だからあまり落ち込むなよ、と俺は葛西に対して思っていた。
だけど俺が顔をあげると、葛西はいつの間にかぎゅっと眉をしかめて辛そうな顔をしていた。
「え…どした?」
「課長、あの…」
「ん?」
「あの、じゃあ…」
思いつめたような雰囲気に、部屋の中は一気に深刻な雰囲気になる。
だけどその後に葛西の口から出た言葉を聞いて、俺の思考は、完全に停止した。
*****
「…ン、ふ…っ」
一体何がどうしてこうなったのか。
さっき、ためつすがめつ眺めていた大人のおもちゃを、俺はこともあろうに自分の尻――アナルに、収めていた。
『課長に、入れさせてもらえませんか』
真剣な眼差しで、そう言ってきた葛西の言葉に、俺は訳がわからなくなってYESの返事をしてしまったらしい。
気づいたらローションを用意されて、スラックスとパンツも脱がされて、ローションを使ってその部分をぬるぬるとほぐされた。
と思ったら、それが入ってきたのだ。
男のペニスを模したそれは、だけど思ったよりスムーズに入ってしまって自分でもびっくりした。
しかも、
「課長。…橋本さん、痛い、ですか…?」
うつぶせになった背中のほうから、葛西が尋ねてくる。
「ン、だ、だいじょ…ぶ、あッ!」
答えている途中でナカに埋め込まれたものが動いて、思わず声を上げてしまう。
圧迫感はあるけど痛くない。
それになんだか腹の奥、普段のセックスでは届かないようなところがジンジンする。
なんかやばい。
このままじゃ俺の身体、変になっちゃいそうだ。
ボーッとしている頭でもそう予感すると、俺は葛西に声をかけた。
「なぁ、もういい…?」
「え?」
「『入れてみたい』って…言ってた、から、ン…ッも、いいだろ…ッ?ぬ、抜いて…っ」
「……」
俺の言葉に葛西は口をつぐむ。
尻の方にいるからその表情は見えない。
と、ナカに入れられていたバイブがぐっと動いて、ずるぅ…と抜けていった。
「アッ、ぁあ……!」
内側の壁を、カリの張ったところで擦られて、びっくりするほど高い声があがる。
あぁ、なんだこれ。
めちゃくちゃ気持ちいい。
圧迫感がなくなって、だけどさっきよりもずっとその部分が熱くてたまらない。
「ぁ…あ、」
「…課長」
呼吸を整えていると葛西の声が聴こえた。
唸るみたいな、低い声だった。
何かを我慢しているみたいなその声で、呼ばれる。
答えようとするとくるっとうつぶせの身体をひっくり返された。
見上げると俺の上に葛西がのしかかっていて、ひどく真剣な熱の籠った目でこっちをじっと見ていた。
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