人見知り男、唇性感帯ヤンキーを拾う (Page 6)

「自分でイかなくていいよ。俺がイかせてやるから」
「…おにーさん、俺には興味ないんじゃ…」

顔が引きつる相手は、俺が他の男と同類だと思ったに違いない。それでは元も子もないじゃないか…改め直して、自分を律しようとしたのだが――。

「龍春が煽(あお)ってきたんだろ?気が変わったんだ」

と囁(ささや)いてしまった。理性はバカ正直に働くものだ。そのまま両手で彼の頬を包み、視線を交わすと、相手は首を横に振り、俺の顔を避けようとしていた。

「――俺、怖いよ…」

今になって龍春は怖気(おじけ)づいたようだ。キスでイく感覚が怖いのか、その姿を人に見られるのがトラウマとなっているのか見当がつかない。

「大丈夫だって。つーか、さっきキスしたとき、ホントはイってただろ?その証拠に…パンツ、汚れてるぞ」
「う…それ気づいてても、普通は言わないでしょ…えっ、ちょっ、ちょっと待って!まだ心の準備がっ…ん…あっ!だ、だめぇそれ…舌入れんのは…な…ぅんッ!!」

唇と唇が合わさったとき、彼の身体は再三にわたって大きく跳ねた。“だめ”だの”舌入れないで”の言葉は最初俺に行為を仕向けてきた奴のものとは思えず、それを遮(さえぎ)るように何度も何度も…呼吸が止まるくらい深い口づけをお見舞いしてやる。

「キスだけで感度が上がってんなら、こっちでもイけるだろ…もう、限界なんだ――俺、本番は初めてなんだけど…お前の中に挿れたい」

相手は繰り返し行ったキスのせいかトロトロの状態で、呂律(ろれつ)が回っていないというのに、卑怯(ひきょう)な申し出をするなんて、嫌われても仕方ない。
だが、龍春が出した答えは――。

「…いい、よ…。おにーさんの…大きい意気地なしおちんちん、早く俺の中に挿れて?」

*****

「ァんっ!はァ…おにぃさん!おにぃさん――んむぅ!!」

俺の膝上に乗る対面座位(たいめんざい)の形で、彼の性感帯である唇を貪りながら、前立腺に俺のペニスを擦りつけて奥を突いてやる。唇同士を合わせる度にきゅうきゅうと中が締まる龍春のどこが気持ち悪いのか、俺にはさっぱり理解できない。これだけでイき、膝上に白濁液を漏らす体質なんて最高だろうに。

「龍春を捨てた男、見る目なさすぎ…」

へこんでいる乳首さえも、キスすれば一瞬で飛び出してくるし、太ももや腋(わき)だって同時に触れてやれば、いやらしくビクつくのに…なぜコイツを突き放してばかりで、誰も気づいてやらなかったのだろう。

「――っ龍春…気持ちいいか?」
「んぁっ!あぁ、きもちイッ!きもちイイよぉ!お願い、捨てないで!俺を独りにしないでぇ!!」

龍春はまた独りになってしまうことに怯えていた。セックス中にイく悦びを味わえたというのに、真っ赤な瞳で俺に訴えてきては抱きつき『キスして』『もう一回挿れて』と連呼してくるのだから、俺が彼に嫌気を差して手放さないか、心配なのだろう。

俺たちが、“一夜限りの関係”で終わらないことを証明する必要があった。

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