兄恋 (Page 2)

その頬を撫でてから、性器に触れようとする。
兄さんが一瞬どうしよう、という顔をしたのを僕は見ていた。それでも優しいこの人は嫌がらない。

「…いいの?」

「わからない。
ただ、そんな顔のお前を放ってはおけないから」

そんなに酷い顔してるかな。
今、とっても嬉しいのに。

ズボンの上から性器に手をかけると、何をされるかわからない不安がその顔に薄く滲み始める。
改めて、今から僕は好きな人に酷いことをするんだなと実感して悲しくなった。

布の上からゆっくり優しく撫でてみる。
触れてみたらもっと触れたくなった。
よしよしと宝物に触るように何度も、何度も撫でていると息が上がってきて、兄さんの顔が赤くなって、脚がそわそわとしている。

「はぁ…はぁ…」

焦らすつもりじゃないけどどうしてもその様子をじっくり見ていたくて、何度も何度も優しく撫でる。
脚がもじもじとして、触れているところがじんわり濡れてきている。
兄さんは恥ずかしいのか、腕で顔を隠している。

「…愛、あんまり、焦らすな」

しばらく眺めていると非難の声が上がった。
気付くと兄さんの耳は真っ赤で、息は上がりきっていてのぼせたようになっていた。
もっともっと可愛い顔が見たくなってほんの少しだけ強く刺激する。

「ん、あっ、あ…」

体がびくんとして甘い声がする。
焦らされた体は刺激に敏感になっていて、声を出さずにいられなくなってきてしまっているみたいだ。
もう僕の我慢はきかなかった。
兄さんのズボンのチャックを下ろして、ベタベタになったパンツに手を入れて肌に直接触れる。

「あっ、愛、それは…!」

「…さすがに嫌、かなぁ」

ぎゅっと強ばった兄さんを見て僕は手を引いた。
すると兄さんは首を横に振る。

「正直に言うと、少し怖い。
でもお前にされるんだなって思っても別に嫌だと思わなくて…驚いた。
…だから、きっと大丈夫」

僕は驚いて固まってしまった。
僕の頭をよしよしと撫でて、兄さんは何だか吹っ切れたような顔で笑っていた。

「したいなら、してもいい。
でもその、初めてだし…酷いことは、しないでくれ」

兄さんが言った言葉の意味をやっと理解して、気付くと僕の目からは涙が溢れていた。

大好きな兄さんに拒絶されなかったことが、すごく、すごく嬉しかった。
兄さんがおいでと言って手を広げて、僕はその胸に飛び込んでいって思い切りぎゅっと抱きしめた。

「ありがとう兄さん…!」

「あぁ、今までごめんな。」

そう言って強く、長く抱きしめ合った。

ひとしきり抱き合ったあと、僕は兄さんの体を宝物のように扱い愛撫すると、もう一度秘部へ触れる。

不安そうな僕に、兄さんはまた大丈夫と言って撫でてくれる。

今日は僕が兄さんを愛してもいい特別な日。

2人の息づかいといやらしい水音と、兄さんの喘ぐ声だけしか聞こえなくなっていって、僕の幸せな夜は更けていった。

Fin.

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