危険な温泉旅行
秋山司には同い年の恋人である春川俊樹がいる。付き合って1年になる記念旅行のため、司は俊樹に内緒で露天風呂付きの部屋を予約していた。2人っきりで存分にイチャイチャできると期待していた司に対して、俊樹は「大浴場に行こう」と言い出して…!?
「おお〜立派な旅館じゃん!」
隣にいる俊樹が旅館の前ではしゃいでいる。ここは県内でも屈指の老舗温泉宿だ。
「だろ〜?早くチェックインしようぜ!」
今日は俊樹と付き合って1年目の記念日だ。俊樹を喜ばせたくて司はこっそり露天風呂付きの部屋を予約している。
*****
「それではお夕食までごゆっくりどうぞ」
チェックインを済ませ、スタッフの女性が宿泊する部屋まで案内してくれた。
「もみじ」と書かれた扉を開けてみると、新しい畳の上にツインベッドが置かれている和モダンな空間が広がっていた。
部屋の奥には景観を存分に楽しめる露天風呂がある。
ドキドキしながら俊樹の顔を見てみると、司の予想に反して真顔で立ち尽くしていた。
「俊樹どうした?」
「…」
「えっと、疲れちゃった?」
「そうだな。移動で疲れたから早く風呂行こうぜ」
つかの間の沈黙の後、俊樹はぶっきらぼうに言い残し、荷物の中から着替えを取り出した。
無言の圧力を感じ、司は何も言えないままカバンから着替えを取り、部屋を先に出てしまった俊樹を慌てて追いかけた。
*****
大浴場に着いてからも俊樹は全くしゃべらない。
無言のまま体を洗い、大浴場から続いている露天風呂へと向かった。
お湯に浸かっても俊樹は表情を緩めなかった。癒しの時間のはずなのに、楽しむどころではない。しかもこんな時に限って大浴場にいるのは2人だけだった。
「俊樹」
「ん?」
「あの、何か怒ってる?俺、何かしちゃったならごめん」
喜んでくれると思ってたのに、思わぬ反応をされて司は戸惑いを隠せなかった。恐る恐る俊樹の顔を覗き込むと、彼はなぜか不敵な笑みを浮かべていた。
「怒ってないけど?」
「え?でもさっき」
そう言いかけた司の唇を強引に俊樹が塞いだ。
「ちょ、俊樹お前何して…んんんっ」
両手も掴まれて、そのまま風呂の端に追いやられる。
俊樹の舌が口内に入ってきて、司の舌に触れた。
口の中を何度もなぞられ、ピチャピチャという水音がいやらしく響いている。
奪われるように舌を吸われ頭の中がじんと痺れる。
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