僕は兄ちゃんの花嫁~血の繋がりなんて関係ない!~ (Page 3)
「蒼、泣くな…泣かないでくれよ…」
その声を背後から聞き、ますます涙が止まらない。大切な人を悲しませている自分に嫌悪感が募(つの)る。
「来月にはここを出るつもりなんだ…お前がいつまでも泣き虫のままだと、俺も困るだろ?」
机に張り付いた僕を引きはがすようにして、兄ちゃんが後ろから抱き寄せ――子供の頃よくしてくれていたように、ティッシュで涙や鼻水を拭いてくれる。
「なぁ、蒼。兄ちゃんに何ができる?お前は俺にどうしてほしいんだ…」
「そんなの、言えない!!言ったって兄ちゃんを悩ませるだけ…僕のワガママだもん!!」
どうして同棲を決めた兄ちゃんが、僕を勘違いさせるような行動を取るのか理解できない。僕はさっき伝えたじゃないか。『兄弟じゃなかったら、兄ちゃんを振り向かせたい』って――それがすべてだ。しかし、兄ちゃんは僕を抱きしめる力を強めた。そんなことをされたら、本音が漏れてしまう。
「…彼女さんのトコなんて行かないで…もう少しだけでいいから傍にいて…」
「ありがとう。その言葉が聞きたかった…」
*****
「蒼、お前いつの間にそんな…」
「じ、ジロジロ見ないでよ…兄ちゃんの方こそ…あの…」
目のやり場に困り…床で視線を彷徨(さまよ)わせる。ついでに大きめのフェイスタオルで股間を隠した。僕たちは1階にある脱衣所で2人服を脱ぎ、裸になったところだった。目を腫らした僕に、兄ちゃんが『たまには一緒に風呂にでも入らないか?温まればお前も、落ち着くだろうし』と提案したのだ。一緒にお風呂だなんて、小学校の中学年以来だ。僕が9歳になるまでは、毎日兄ちゃんと浸かっていたのに、兄ちゃんが中学3年生になった途端、“もう1人で入れ!”と突き放してきたのだった。
思春期というヤツだろうか…それから僕は1人で入るようになったので、兄ちゃんの逞(たくま)しくなった胸筋や大腿筋、上腕二頭筋、6つに割れた腹筋から目が離せない。それに――兄ちゃんの股間には、立派な巨根がぶら下がっていた。
(お、大きい…どうしても見ちゃうよ…)
絞り切った目の前の肉体は、全部“彼女”のためにある。家に帰ってこない日はきっとあの巨根で、彼女を突いているに違いない。
(って、想像しちゃダメだ…僕のが反応しちゃうよ…)
兄ちゃんに比べて、自分の薄っぺらい身体が恥ずかしい。体毛も少ないから…小さいペニスも全部が茂みに覆われず、万が一にでも勃ってしまえば、兄ちゃんにからかわれるに違いない。
「俺だけ曝(さら)け出してんのも変だろ。蒼もタオル外せよ。家の風呂だぜ?」
「え…あっ!」
兄ちゃんにしてはめずらしく、少し強引に僕のタオルを外し、こちらのペニスをまじまじと見つめる…熱い視線が集中してしまえば、それはピクピクと上反りになった。
「――んッ!に、兄ちゃん…だから見ないでってば…なんか痛くなってきちゃったよ…」
「可愛いな。俺に見られて…もしかして、勃起した?」
「わかんないよ…初めてだもん…」
これは半分嘘。勃起したことくらいある。けれど僕は手慣れた兄ちゃんとは対照的に自慰の経験もなければ、Hの経験もない。
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