妄想男の悲劇 (Page 3)
「いや、なんの冗談ですか?」
好きな人にからかわれた。
これまた屈辱的だ。
「…冗談なんかじゃないよ」
急に声のトーンを下げ、真面目な口調で言う。
「でっ、でも結婚してて奥さんもいらっしゃいますよね?」
僕のその言葉に鼻で笑いながら
「もう冷えきっちゃってるよ。離婚するつもり。…それでもダメ?」
不倫野郎が言うセリフそのままじゃないか…
僕は黙ってしまった。
「じゃあ、一夜だけの…ってことで。ね?」
顎を掴まれ少し乱暴なキスをされる。
「んっ…あ、ちょっ…んんっ…やめ…」
「嫌? ならやめる?」
涙が出てくる。
嫌じゃない。急展開過ぎて頭が追い付かないだけだ。
「なんで泣くの?」
「…僕もっ…好きだからですっ…!」
ああ、ついに言ってしまった。
「…なんだ。両思いじゃん。じゃ、いいよね?」
そのまま近くにあるソファへと押し倒される。
僕はされるがままで身体に力が入らないほど恥ずかしい。
「俺のフェラ、気持ちいい?」
ほぼ悲鳴に近い声を出してしまう。
大好きな圭一さんにフェラチオされているなんて…
「ああっ!」
「あはは、もうイっちゃったの? 軽くしゃぶっただけなのに」
恥ずかしいという単語で頭の中が埋め尽くされる。
「そういやさ、男とシたことあるの?」
僕の秘部を指と精液で馴染ませ、卑猥な粘着音を立てながら言う。
「いっ、あっ…ないっ…」
「やっぱり? ココ、キツいもん」
「ああっ!」
秘部の奥深くまで指を押し込まれる。
気持ちがいいような悪いようななんともいいようがない変な感覚に襲われる。
「でも大丈夫だよ? 俺が気持ちよくさせてあげるから」
「…ひゃあ!」
ベルトを外す金属音が聞こえたと思ったら、僕はもう圭一さんとひとつになっていた。
「うっわ、きっつ…」
そう言いながらもそこそこのスピードでピストンしている。
「うっ、うっ、あああっ…けっ、圭一さんっ…」
「なぁに?」
ニッコリと微笑む圭一さんに僕はこう言った。
「ずっと…こうしたかった…んですっ…ああっ…! 大好きっ…です!」
「ふふ…可愛い。俺も好きだよ…」
*****
…突然視界が真っ暗になる。
全身汗びっしょりだ。
それに下半身に強い不快感を覚える。
まさかと思い、時計を見ると午後10時。
また…またなのか。
「明日、会社…休もう」
Fin.
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