加虐性癖サラリーマンはご奉仕ロボットを愛でたい (Page 8)
「貴方が僕に結婚を申し込んだときは、正直驚きました。貴方は騙されていたのに…もしかして、僕の処女を奪った償いの気持ちで傍に置いてくれているのですか?」
「そんなんじゃねぇよ。お前を返したら、そっちの趣味がある奴に抱かれちまうかもって思って…」
肝心な場面で口ごもってしまう。“俺が死んでもどこにも行くな!”なんてどの口が言えるだろう。彼らはリサイクルの対象物なのだ。
「もし貴方が僕を残して死んでしまったら…耐えられません。ですから、僕も連れて行ってほしいのです。リサイクルされてしまえば、孝則と過ごした記憶は消去されます。僕は記憶を書き換えられたとしても、貴方以外の人に仕えたくありません。貴方に愛された身体のまま、共に虹の橋を渡りたい…」
そう語った彼は俺の耳元であるコードを囁き、それを自身の後(おく)れ毛に隠されていた電子盤になぞらせた。
「これは…?」
俺の問いに答えることなく、メグは首元に腕を回し、認証ボタンを押す。
その画面には、“廃棄処分予約完了”と表示されていた。
「今のコードはご主人様の死後、独りになった僕を完全廃棄するためのもの。ご主人様の生存情報は僕の身体を通して、管理業者の手に渡っています。ですから、貴方が亡くなった場合…彼らがすぐ僕の元に現れ、身体からデータまですべてを解体処分してくれるでしょう。これで僕たちは空の上でも永遠に一緒ですよ」
メグが安心したように笑うから、俺もつられて笑ってしまう。
いずれ訪れるその瞬間まで、コイツに人並み以上の快楽と愛情を注いでやろうと誓いながら。
Fin.
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