甘ったれ王子は花婿を選べない! (Page 2)

初めてのセックスは怖かったけれど、ダージリンの方が緊張していたみたいで、街で買ってきてくれたゴムのパッケージを外すのにも、こちらの服のボタンを外すのにも指が震えて、時間だけが過ぎていくから…僕、思わず言っちゃったんだよね。『ダージリンの意気地なし!早くしないと僕、お妃様もらって結婚しちゃうよ?って…。そしたらダージリンってば半泣きになりながらキスしてきて、『ダメです。貴方を誰かに差し上げるなんてできません…。身分も弁(わきま)えず、欲に負けた私を、どうかお許しください』なんて真面目に言うものだから――可愛くて可愛くて、でもとってもカッコよくって。お尻の穴を慣らされて、ダージリンを受け入れたときは幸福感でいっぱいだった。

そして、それとほぼ同時期に身分は違えど、幼馴染であるルフナからも『お前が好きだ』と告白を受けてしまったんだ。ルフナも僕に婚期が迫っていると焦ったみたい。彼は僕を特別視せず、普通の友達と同様に剣術ごっこや、カウボーイごっこなんかをして、一緒に遊んでくれた存在だ。父様や母様から厳しく叱られたときに“城を離れたい!”と言った僕の手を引いて、家出の手伝いをしてくれたくらいなんだから。

そんなこともあって僕は自分でも欲張りだとは思いつつも、ダージリンとルフナの2人と同時交際をすることに決めたんだ。この考えにダージリンはにこやかに笑っていたけれど、ルフナは『…好きにしろよ』と悪態をついていた。

*****

「王子、お目覚めの時間ですよ…王子、王子――グレイ!!」

僕の日常は、恋人の声で始まる。今日もダージリンが寝起きの悪い僕の髪を撫でながらこう声を掛け、布団を捲(めく)ったんだ。

「んー…おはよぉ、ダージリン。目覚めのキスはしてくれないのぉ…?」
「グレイ、まだ顔も洗っていなければ、歯も磨いていないでしょう?全部終わってからであれば、いくらでもしてあげますよ」

おぼつかない足取りの僕が転ばないように細心の注意を払いながら、肩を抱いて洗面台の前へ立たせたダージリンは顔を洗ってくれ、歯まで磨いてくれる。そして僕が着ていたバスローブの紐を解(ほど)き、温めたタオルで身体を拭いてくれたんだ。

恋人になる前まではこの清拭も“くすぐったい”と思う程度だったのに、彼との情事を知ってしまってからは、素肌を這うダージリンの手つきが厭(いや)らしくて仕方ない。僕が動かないように太腿の間に自身の膝を挟み、淡く色づいたふたつの突起をクリクリと刺激するダージリンはイジワルだ。そんな風にされてしまえば僕のペニスは硬くなり、腰が引ける度に彼の膝を擦るのを知って楽しんでいるに違いなかった。

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