甘い薬としびれる注射、お味はいかが?~お人好し教師は快楽に溺れる~
とあるゲイバー。常連で退屈を持て余す大学生の桐生蓮(きりゅうれん)そこに偶然訪れた高校教師、巽諒太(たつみりょうた)ウブでお人好しの彼に目を付けた蓮は、得意の猫かぶりで彼をホテルまで誘い込み…豹変する蓮に翻弄される巽の痴態に蓮も煽られ…。
気だるい。
今日も昨日も一昨日も。
毎日なーんにも楽しくない。
大学なんて最低につまらない。
そんなことを思いながら、俺、桐生蓮は今夜もここ、『Bar Lunasea(ルナシー)』に来ている。
面白そうなカモでもいないものか。
カウンターでジントニックをちびちびと飲みながら周囲を見渡す。
そんなとき、ドアベルが音を立てて入ってきた男を見た。
冴えないおっさん。
真面目そうだけど、それ以外取り柄なさそう。
しかも、なんだよ、所在なさげにきょろきょろして、ダッセ。
でも、まぁ退屈しのぎにはなりそうじゃん。
俺はカウンターの椅子から立ち上がり、その男の元へ歩を進めた。
「ねぇ、アンタこの店初めて?」
俺の問いかけに男は少し驚いたように一歩後ずさる。
「あ、はい…ここ、というか、こういう店は初めてで」
ふうん、何血迷ったか知らないけど、遊べそうだな。
俺は心の中でほくそ笑む。
「じゃあ、ここがゲイバーだってのは知ってる?」
「あ、ああ、それは一応…調べてきたから」
いかにも自信ありませんって感じの小声でしゃべる男の声に笑いそうになるのをこらえながら軽く肩を組んで、さっきまで座っていた席に戻り、隣に座るよう促すと男はおどおどしながらも腰かけた。
「ねぇ、アンタ名前は?」
「え、ああ、巽諒太、です」
「へぇ、巽さん、ね。あ、俺は桐生蓮。レンって呼んでくれていいよ」
軽く微笑みかけると少し頬を赤らめる。
なに、コイツ可愛いじゃん。
「何飲む?」
「えぇと…じゃ、じゃあ、ウイスキー水割りで」
ついでに俺のジントニも注文するとバーテンダーが手際よくそれぞれ用意してテーブルに置く。
「じゃあ、出会いにカンパーイ!」
「あ、ああ、乾杯」
完全に気圧されてるけど、おっさん大丈夫?
「ねぇ、巽さん、真面目そうだけど仕事なにしてんの?」
「高校教師、です」
「へぇ、センセーなんだ?道理で真面目そ~」
水割りをちびちびしながら、しかもグラス両手で持ってるし。
「君は?学生さん、かな?随分若そうだけど」
「ああ、大学生…未成年じゃねーよ?これでも21」
目をすがめて言うと完全にまたビビってるおっさん。大丈夫かよ。
「あ、ごめん…そういうつもりじゃ…」
「つか、センセーはいくつ?」
問いかけると照れくさそうに笑う。
笑うと少し幼い顔になるな。
「僕は27歳。君からしたらおじさんかな」
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