優秀な執事からは逃げられない
父親が社長である御曹司の大雅。幼い頃から大雅に仕えている執事の真斗。真斗はずっと大雅に狂おしいほどの恋心を抱いてきた。大雅が成人してしばらく経ったある日、ついに真斗はその思いを大雅にぶつける。
「真斗、ねぇ真斗!」
「どうしました、大雅様」
「俺ね、真斗のこと大好きだよ!」
「ふふっ…私も、大雅様のことが大好きですよ」
「俺、大人になったら真斗と結婚するね!」
「はい、約束ですよ」
───約束げんまん、嘘ついたら……
*****
随分と昔の夢を見た。
真斗は俺が10歳の時に、この家の執事として22歳で仕え始めた優秀な奴。
若いのに落ち着いていて頭がよくて、なんでもできるすごい執事。
ちょっと距離感が近いなって思うときもあるけれど…でも、子供の頃から献身的に尽くしてきてくれた大好きな執事。
そんな執事に守られて俺は今日、20歳の誕生日を迎えた。
「本当におめでとうございます、大雅様。立派になられましたね」
「へへっ、真斗がいつも助けてくれたから無事に大人の仲間入りができたよ!」
「私はずっと、この日を心待ちにしておりました」
「ははっ、大袈裟だなぁ」
「いえいえ、本当に待ち遠しかった」
そう言って笑う真斗の顔は、いつもとは違ってどこか妖しげな雰囲気があった。
その日から真斗は、以前にも増して距離を詰めたり、いやに俺を甘やかしてくるようになった。
大学の勉強を見てもらっていても以前より頭を撫でられたり、頬を撫でられたり。
初めて彼女ができたけど、家に連れてきたら真斗の顔を見た途端に逃げ帰ったり。
結局、その彼女とは別れてしまって……とにかく、少しずつ日常が変わっていった。
じわりじわりと俺の傷口に沁み入るような…それでいて甘く、時々狂気すら感じるけれど真斗の存在が俺の中で大きくなっていく。
そんな日々を送るなか、俺と真斗の関係が一変する出来事が起きた。
*****
最近のコメント