叔父さんが好きです (Page 5)
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「ごめんなさい、自制が効かなくて。身体大丈夫ですか?」
「…大丈夫なわけないだろう、どういうつもりだ」
身体を拭き、服を貸した。
「あなたのこと好きなんです」
「…いつきなんだろう?」
「気が付いていたんですか?」
「ああ、大きくなったな、立派になった」
「っ、はい」
昔のように頭を撫でられ目頭が熱くなるのがわかる。
「私のこと好きだといったな、申し訳ないがそれには答えることができない」
「はい」
わかっていた。
「私がどういう人間かわかっているだろう」
「っ、はい」
「だから駄目だ」
「…俺のことが嫌だからじゃなく?」
「っ、昔君と過ごした4年間は私にとって大切な時間だった、私を慕ってくれる君がかわいくて仕方がなかったよ。君だと気づいて会いに行ってはいけないと思ったが、自分ではどうしようもなかった」
「それって…」
「でも駄目だ」
「無理です、諦められません」
「こんなおやじ好きになっても何にもならないぞ」
「そんなの俺が決めます!」
「またな」
「ユキオさん!俺諦めませんから!!!」
俺の声を無視してユキオさんは車に乗り込んだ。
小さくなる車を見つめる
「…またな、か」
それからユキオさんは店に来なくなった。
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「はい、はい、承知しました。それでは8日までに修正して提出いたします。
失礼いたします」
あれから2年後、大学を卒業した今でも時間ができればあの店に通っていた。
「いっちゃんも、もう社会人か~」
「大学卒業してもう2年経つよ、オーナーも年取ったね、後継ぎ探さなきゃ」
「ばかやろう、俺はまだまだ現役だ」
「はいはい」
カランカラン
「いらっしゃい~あら、随分久しぶりだね~今日はいつもの真っ黒スーツじゃないんだね」
「ご無沙汰してます、ええ、あれはもう着る必要なくなりましたから」
「えっ、転職でもされたんですか?」
「ええ、またなって言いましたからね」
久しぶりに見た彼の顔は昔より穏やかになっていた。
「待たせたな、プリンアラモード一緒に食べようか」
Fin.
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