内気な僕の悩みを聞いてください (Page 4)
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…僕はお酒が弱い。というか飲み会、というものも苦手だ。
「おーい! 高木―?」
断われない性格の僕は上司に誘われた大衆居酒屋でちびちびとビールを飲んでいた。
だけどお酒が弱すぎる僕はジョッキ半分も飲み切っていないのにふわふわと視界が回った。
「…はい」
上司の松本さんが肩を叩く。
「もう酔ってるの?」
「すみません…」
「また謝ってんじゃん」
「すみま…」まで言葉が出てきたが言い切る前に言葉を飲み込む。
「高木ってほんとひ弱だよなー。体型もひょろひょろだし」
「…はっ…い」
「おい、大丈夫か」
視界がさらにぐるぐると回り始める。目が回る。「大丈夫です」という言葉すら回って見える。
「…すみ…ま…せん…」
なんとか言い切った、と思ったのと同時に僕の視界は真っ暗になる。
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ふと気が付くと僕の視界は見慣れた天井にすり替わっていた。安物だけど気に入っているベッドにペラペラの掛け布団。間違いなく僕の家のベッドの上だ。
「あっ、起きた?」
松本さんだ。一瞬状況が理解できなかったが、それはものの数秒で解決した。
「お前、あの後つぶれちまったんだよ。覚えてる?」
「えっと…」
「で、俺が担ぎ込んできたわけ。…お前、軽りぃなぁ。元カノのこと思い出したわ」
お腹を抱え、笑いだす松本さん。恥ずかしくなり顔を背けてしまう。
「その代わりっていったらあれなんだけど風呂、借りた。事後報告ですまん」
その言葉に疑問を感じた僕は時計に目をやる。
「えっ…もう3時ですよ」
「ここに付いたときはとっくに終電終わってた」
松本さんにもバレそうなくらい、さぁ…と血の毛が引いてゆく。またお腹を抱え、笑いだす松本さん。
「ははは! 気にすんな! とりあえず…はい」
と、二日酔い止めのドリンクを手渡される。酔いよりも申し訳なさで頭が混乱しそうになる。
「えっ…ここまでしてもらって…あの…すみません」
もう松本さんの顔も見られない。うつむきながらドリンクのキャップに力を入れる。
…動揺をごまかすためにドリンクを一気飲みする。
「あのさ…前から思ってたんだけど、高木ってもしかしてコッチ?」
「はっ…はい?」
突然過ぎる質問に思わず声が裏返る。
「あはは、やっぱり。こんなAV観てるくらいだもんね?」
という松本さんの手には昨日観たあのAV。刺激的過ぎてテレビの後ろに隠したのに、どうやって見つけたんだ。
…もう身体が硬直して何も言えないし、動けない。
「それでまだ童貞だと見た。あってるでしょ?」
数秒間の静寂の後、耳元で「なら、俺が体験させてあげよっか…」そういい終わらないうちに耳たぶをじっとりと舐められる。
「あっ…あうっ…」
「高木、お前ホント初めてなんだな。じゃあキスもしたことない?」
松本さんの唇と僕の唇が重なり合う。僕の想像していたキスとは違って卑猥な水音を立てて舌も押し込まれる。…息が出来ない。耐えきれず松本さんの胸を手で強く叩いた。
「はは、これからもっと刺激の強いことするのに?」
カチャン、とベルトが外される音がする。それと同時に大きな肉棒が姿を現す。
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