内気な僕の悩みを聞いてください
高木秀(たかぎしゅう)は何事にも奥手で気が弱い上、泣き虫で恋愛経験も一切ないしがない会社員。そんな彼には悩みがあり、自分のセクシャルがゲイであるということ。色々試行錯誤して努力しようとするが、勇気が出ず撃沈。そんな高木の上司、松本(まつもと)に自分のセクシャルがバレてしまい…
「ただいまー。ああ、そういえば郵便来てたよな…」
仕事から帰宅したときドアポストを覗くとそこには2通、郵便物が投げ込まれていた。
あとから確認しよう、とカバンと一緒にとりあえずソファへと置いたことを思い出す。
僕は立ち上がり、手にした1通目の手紙の差出人の名前を見る。
「やっぱり結婚するのか…」
そう思った瞬間また僕は世間から取り残された気分になった。
…次々と僕の同級生達は結婚して家庭を持ち始めている。
そんな僕はというとセックスの経験どころか、恋愛経験もない。
それは僕の恋愛対象が男性である、ということ。
そんなことは誰にも話したことがない。打ち明けるつもりもない。
でも僕もいい歳だ。
「いい加減結婚したらどうだ、子供は可愛いぞ~」
というお節介おじさんの説教は耳にタコができるくらい聞かされた。
「はは、いい人が居れば」
そう嘘を付き続けるのにも疲れた。
…社会に出る、ってこんなに疲れるんだ。
結婚式の招待状を手にしながら僕は深いため息をついた。
それとともに涙が溢れてきた。
「このまま孤独死かな…」
ソファに体育すわりをして息を殺し、涙を堪えた。
「お風呂…はいろ…」
そう立ち上がった瞬間だった。
なにかが音を立てて床に転がり落ちる音がした。
ふと音がした先を見るとそこには2通目の郵便物が床に転がっている。
「あっ、そういえばもう1通あったよな…」
その郵便物は明らかに手紙や招待状ではなくなにか固いものが入っているように感じた。
「なんだろう、これ」
僕はハサミを入れ、中身を取り出す。
そこにはすっかり涙なんて引っ込むほどの衝撃的なものが入っていた。
“変態上司のアブナイ研修”
そんなタイトルが付けられたAVのパッケージには今時のアイドルのような整った顔立ちの男性2人組が全裸で勃起した男性器を丸出しにしている姿が写っていた。
そのパッケージを見た瞬間、僕は思い出した。
勇気をだしてこのAVを購入したことを。
*****
…僕と同じゲイの人達ってどんな恋愛をしているのだろう、そしてセックスってどうしてるの?
そういった好奇心はあったけど怖くて行動に移せなかった。ある日たまたま観た深夜番組で”レズビアン向けの風俗”という存在を知った僕はゲイ向けの風俗っていうのもあるのでは、とインターネットで検索してみたことがある。
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