告白のあとの進め方 (Page 2)

だが、次の日からはキスはおろか手をつなぐこともなく、今までと変わらない友人付き合いが続いている。

陽人は安心しながらも、自分の覚悟が滑稽だったような気持になりながら涼との時間を過ごしていた。

*****

今夜は高校時代の仲間との飲み会だったが、交際を報告するわけでもなくいつも通り陽人は友人たちとふざけてはしゃぎ、涼はテーブルのすみで哲学科に進んだ友人と講義内容について議論していた。

楽しく二次会を終えて、陽人のアパートには終電を逃した涼が泊りにくることになった。

涼を部屋に泊めることはよくあったが、告白後は初めてだった。

陽人は少し緊張しながらドアを開けたが、これも今までと変わることなく、順番にシャワーを使い、ベッドとソファーに分かれて転がりながら雑談し、涼はタオルケットを抱きしめながら眠りについたようだった。

薄明りの中でじっと涼の顔を見ていると、キスをした時の感触がよみがえり、陽人はかがんで涼の唇に指を這わせた。起きないのをいいことに、そのまま唇に軽くキスをする。

「起きないと、襲っちゃうぞ」

自分の行為に一人で照れた陽人が冗談っぽくささやき、ベッドに戻ろうと背を向けた。

「襲ってよ」

寝ていたはずの涼がしっかりした声で言った。

「え、え、えー?」

驚いた陽人が振り向こうとすると、涼に後ろから抑え込まれて頬にキスをされる。

陽人は自慢の腕力で振りほどこうとするが、まったく歯が立たない。

「でも、抱くのは、俺だよ」

涼が耳たぶを噛みながらささやいた。

耳の中に熱くて湿った舌が差し込まれる。

「あ、や、や」

ぺちゃぺちゃと舌で耳孔を侵されて、陽人が震えた。

「大事にしたくて、ずっと我慢していたんだけど」

「あ、あの」

「もう、我慢できなくて」

陽人のパジャマに涼の冷たくて大きな手が入ってくる。

切ない声とは裏腹に、遠慮なく陽人の胸や腹を撫でまわす。そこから下腹部に手を這わせようとする。

「涼!」

陽人はその手をつかんで動きを封じると、必死に身をよじって涼に向き直った。涼が顔を背ける。

「涼、嫌がらないから、顔見せろよ」

軽く涼の腹にキックを入れる。

「うん」

涼が気まずそうに顔を上げる。

いつもの飄々(ひょうひょう)とした雰囲気がなくて、陽人は可愛いなぁとニヤニヤしてしまう。

「俺、告白されてから涼の態度が変わんないんで、ちょっと混乱してたんだ」

「だって当日にキスしたら、めっちゃ引いていたから」

「引いてないんだよ、驚いただけで」

「…。意外とよかった?」

涼が真剣な顔で聞く。「よかったよ、ドキドキした」と答えると、「ぅをっしゃー」とガッツポーズをした。

残念なイケメンっていうのは女の子に興味がないからだけではないような気がするな~と陽人が見ていると、涼はまた涼しい顔に戻って「続きしよう」と言って来た。

陽人が頷くと、告白の時と同じ笑顔を涼が見せた。

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