弟みたいって思ってた?
幼馴染の翔(22)と敬太(20)。この日は互いに就職内定と成人祝いで飲み明かすことになった。久しぶりの会話で酒がすすみ酔いつぶれてしまった翔を、甲斐甲斐しく介抱する敬太だったが…。弟のようだと思っていた敬太の執着を、翔は一晩のうちにたっぷりと知ることになるのだった。
「んじゃ、俺の内定祝いと敬太の成人を祝って」
「カンパーイ」
幼馴染の二つ年下の敬太がつい先月めでたく二十歳になった。
俺のことを昔から翔兄、翔兄と言って懐いてくれて、俺もなんやかんやで面倒を見てきた。
まあ、正直けっこう可愛がっていたと思う。
ようやく酒が酌み交わせるということで、ささやかだが俺の借りてるアパートで祝賀会だ。
コンビニで飲みものを買って、デリバリーのピザを食べながらだらだらと他愛のないことを話す。
内定企業のことや、互いの大学生活はどんな感じかなど。
近頃は会う頻度も減っていたため、こうして久々に話すと会話が止まらなかった。
そして勧められるままに酒がすすんでしまい。
「ん…あれ、なんか急に…眠…?」
どんどん重くなるまぶたに必死で抗うが、見かねた敬太が「翔兄疲れてたんでしょ、寝ていいよ。俺ベッドまで運んであげる」と囁くもんだから、申し訳ないと思いつつその優しさに甘えて目を閉じた。
*****
「…?」
ぼんやりと意識が浮上する。
ふわふわした心地のままでいると、覚醒してきた意識が下腹部に違和感を覚える。
「っ、あ?」
なんか、きもちいい。そう、まるでマスでも掻いてるような。手のひらで触られている感覚。
「ぇ?な、っなに」
違和感によって急速に目が覚めていく。
ベッドに仰向けになっている俺は、周りを見ると信じられない光景に目を見開いた。
「敬太、おまっ何して…!?」
添い寝のように横に寝転んだ敬太の手が、俺の陰茎をしゅこしゅことしごいている。
「おはよ、翔兄。起きた?」
「起きた?じゃねぇよ!何触って…っ、や、めろ」
とっさに彼の手を止めようとする、そこでようやく違和感に気付いた。
「は?手、なんで縛って」
俺の両腕ごと手首でひとまとめにして、ベッド上部に括りつけられていた。
「だってそうしないと、翔兄暴れるでしょ。俺この歳で取っ組み合いのケンカしたくないもん」
「そういうことじゃねぇよ、お前、どこ触って…っ」
「ん?翔兄も男ならわかるよね?てかもう勃ってるし」
「っ、手、放せ!」
聞く気はないと言わんばかりに亀頭をくるくると指先で撫でられて背中が跳ねた。
なんだこれ、どんな状況だよ。
泣きたいような気持ちになりながら、抗議しようとしたが敬太のほうが先に口を開いた。
「翔兄さぁ…俺のことずっと弟みたいとか思ってたでしょ?」
「んなの、当たり前っ」
「俺はずっと、ずぅーっと前からそんな風に見てなかったよ」
「はぁっ?」
状況も、言葉も、意味がわからなくて問いただしたいのに。
陰茎をこすられて息が上がる。下手に口を開くと馬鹿みたいな声が出てしまいそうで、兄貴分としてのプライドがそれを許さなかった。
「マジで、っやめ、今ならなかったことにしてやっから。な?」
なるべく平静を保ちつつ敬太の目を見て告げると、見たことのない真っ黒な瞳に射貫かれて、背筋が震えた。
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