文化祭の出し物でメイド服着たらお仕置きされた
大学の文化祭で女装メイド喫茶を行うことになった俺は、自他ともに似合わない女装に恥ずかしながら呼び込みに向かったところ、恋人の勇にその姿を見られてしまった。そのまま空き教室に連れ込まれ、「なんでそんな格好をしているんだ」と怒りながらお仕置きと称して身体を好き勝手いじられて――
大学の文化祭といえば、華やかなものを思い浮かべるだろう。
高校までとは違い、サークル活動も充実してそのサークルならではの出し物を行ったり、調理学科が本気を出して美味しい食べ物を作ったり…。
だから、こんな男子校みたいな出し物をするのは、きっとうちの科だけだろう。
「いっ、いらっしゃいませ〜!史学科による時代別メイド喫茶へようこそ〜!」
出し物を決める際、俺たち史学科は悩んだ。
だって基本的に歴史が好きな奴以外は史学科になんて興味がない。俺たちはいつだって文化祭では蚊帳の外だ。この大学で1番文化的な学科であるというのに!!
どうすれば外部の人が楽しめるように…なおかつ歴史の面白さを知ってくれるのだろうか?
誰しもが頭を抱えていたそのとき、教授(今年58歳・男)が言った。
「いっそネタに走って女装喫茶でもやるか」
ならば有名なコンテンツであるメイド喫茶にしよう。
ただのメイド喫茶ではなく、時代に合わせたメイド服を着たらいいんじゃないか?
メニュー覧にこそっと英国の時代背景を書けば――
などと一部の連中が悪ノリし出し、メイド文化を通して各国の歴史を知ってもらおうという試みのもと、女装喫茶が爆誕した。
誤算だったのが、100%おふざけで出されたこの案が通ってしまったことだろうか。
生徒会から連絡が来たときにはみんなでひっくり返って驚いたものだ。しかし通ってしまったものはしかたない。
そう切り替えられたのはくじ引きで犠牲者から外れたものだけだった。
見事犠牲者として選ばれた俺はメイドの中でも比較的一般的でシンプルな、昔ながらの英国メイド服になったため、まだいい方だ。
1番悲惨なのはミニスカメイド服を着ることになった奴らだろう。スカートの下から見える筋肉質な脚がしんどい。
「はぁ…憂鬱だ…」
かといって化粧も何もしてないバリバリの男がロングスカートとはいえメイド服が似合うわけもなく、すれ違う人々の視線が非常に痛い。
しかも比較的マシな服装ということで呼び込みも任されることになったのだ。地獄である。
だかしかし、本当の地獄はここからだった。
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