抜き合いっこ

・作

十年来の親友から恋人関係に変わったばかりの真澄(ますみ)と樹(いつき)。恋人としての樹に慣れないと言って恥ずかしがってばかりの真澄だが、樹はお預けされ続けて少々不安。キスを拒まれた樹は、少し強引に関係を進めることに…?

十年来の親友だった俺と真澄は、つい一週間前に恋人になった。
すぐにでも恋人らしいことをしたいと思っていた俺とは違って、真澄はそういうことには少し時間が欲しいと言った。
友達としての付き合いが長くても、恋人の俺にはまだ出会ったばかりだから……ということで、まあ、つまり照れているんだろう。
そう解釈して、ギクシャクしている真澄と過ごしてきた。

「……あのさあ、これもダメ?」

俺の部屋で二人っきり、ベッドの上に座っているというシチュエーション。こっちは期待しっ放しなのに、真澄は唇を手で覆ってキスを拒んだ。
緊張しているのはわかるけれど、ここまでやられると恋人として自信がなくなってくるのも事実だった。

「ダメじゃないけど、心の準備が……」
「そう言ってもう一週間じゃん。俺、正直けっこう不安なんだけど」

真澄はパッと目をそらすと、「だって、恥ずかしくて……」とボソッと呟いた。こういうところが可愛くもあるけれど、これではいつまで経っても慣れないんじゃないだろうか。お預けを食らい続けて、俺もそろそろ我慢の限界だった。

「目逸らさないで、俺のこと見てよ。恥ずかしがってるとこも可愛いけど」
「そういうこと言われたら、余計に見にくいよ…」

真澄の手首を掴んで、ゆっくりと顔の前からどける。照れた頬がほんのり赤く色づいている。それよりも赤い唇にそっとキスをした。

「ん……、っ!」

唇を離すと、真澄はキスだけでとろんと目を潤ませている。そっと手を下半身にすべらせて、スラックスの上から撫でる。固くなっているのがわかって少し安心した。

「ちょっと、樹……!」
「ねぇ、抜き合いっこだけしようよ」
「抜き合い…?」

今度は真澄の手をとって、俺の股間に持っていく。布越しでもはっきりとわかるほど勃起した俺のものに触れると、真澄の肩がびくりとはねた。

「俺、もうガチガチだから……いい?」

顔を真っ赤にしながらも、真澄はこくりと頷いた。

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