長いおあずけ (Page 3)
「まあ…こうなるよな」
勤務を終えて家に帰り着くころ、運転中の聡太のスマホにメッセージが届いた。
『サークルの奴らに誕生日だって知られて、居酒屋に連れてこられた』
大学生のノリじゃ、何杯飲まされるかわからないな、と聡太は苦笑いした。
「盛大に祝われてこい…っと」
文字を打ち込んで助手席にスマホを放り投げる。正直なところ、聡太はほっとしていた。7つも年下の男に、体を暴かれるのは少し怖かった。幻滅されないか?そもそも興奮するのか?覚悟は決めていたつもりだったが、先延ばしになりそうな雰囲気に、聡太はほう、と安堵のため息をついた。
深夜0時を回るころ、一応寝ないで待っていてやろうと思っていた聡太も、リビングのソファでコクリコクリと船をこぎ始めたていた。悪いけど先に寝る、とメッセージを送って寝室へ向かおうとしたそのとき、玄関のドアが開く音がした。
「…うぅ、」
続いてうめき声が聞こえ、ギョッとした聡太が玄関に走って行くと、壁にもたれかかる秋斗の姿があった。
「ふふ、ずいぶん飲まされたみたいだな。水持ってくる」
秋斗の顔を覗き込んで顔色を確認し、聡太が肩を軽く叩いて離れようとすると、その腕を強く掴まれた。今朝出かける前の出来事とデジャヴする。
「大丈夫か?吐く?」
「いや…吐いてきた」
聡太が優しく秋斗の背中をさする。
「そっか、じゃあなおさら水分取らないと」
苦しそうに顔を歪める秋斗に、聡太は思わず笑いが込み上げた。
「…?」
「いや、大学生っぽくていいなって。俺も何回も失敗したっけ」
聡太が、今度こそ冷蔵庫のミネラルウォーターを取りに行くために腕を振りほどこうとするが、強い力で握り返されてびくともしない。
「…秋斗」
駄々っ子に言い聞かせるように言って聡太が眉尻を下げると、秋斗が空いた方の腕で聡太の肩を押し、そのまま2人で床に倒れ込んだ。組み敷かれるような体勢が情事を思い起こさせ、聡太は焦る。油断していた。秋斗の熱い吐息が、首筋を撫でる。
「…っ、どいて、秋斗。今日は無理だって…」
そう言って聡太がもがいた拍子に、膝が軽く秋斗の腰あたりを掠めた。勃っている。
「う、嘘だろ!?」
若さってすごい…。のん気にそんなことを考えていた聡太の顎を、秋斗の手が強く掴んでそのまま強引にキスをする。
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