長いおあずけ (Page 5)
「…は、もう限界。入れたいんだけど」
ちゅぱ、と胸から口を離したと思えば。秋斗は心底興奮した顔で聡太を見下ろし、おもむろに自分のベルトに手をかけ、ジーンズと下着をずり下げる。限界、との言葉は嘘ではないようで、硬く熱り立ったペニスが腹を叩かんばかりに飛び出した。その様子を息を整えながら見ていた聡太はギョッとして、慌てて取り繕う。
「まっ…まじで今日は無理!」
「はあ?絶対抱くって言ったよな?触って終わりなんてセックスになんねーけど」
「いや…どうせ酔い潰れて使いもんにならないと思って…ほ…」
「ほ?」
「…解してない、から…後ろ…」
顔から火でも噴くんじゃないかというくらいに赤面する恋人に、秋斗はなんだそんなことかと笑ってみせた。
「俺がやりたかったからちょうどいいじゃん」
そう言って秋斗は、自分の人差し指と中指を口に含み、いやらしく舐める仕草をする。ちゅ、と指を抜くと、舌と指の間を唾液が繋いだ。どこで情報収集してくるのだこいつは、と目を白黒させて、聡太は反論する。
「いやまじで!男初めてだろ?!ハードル高いって!」
「やってみなきゃわかんないじゃん…」
「俺の気持ち的に本当に今日はごめん」
「なんだよそれぇ…」
しゅん、とうなだれる秋斗に正面から向き直り、聡太がその頬を撫でる。
「それに…お前酔ってるじゃん。もし明日起きて全部忘れてたらショックだし。お前とちゃんとセックスしたいよ、俺は」
最後の一撃、とばかりに目を合わせて。どうか正気のときにもう一度抱いてくれと願いを込めて、言い聞かせるように聡太が言う。
「う〜…」
「明日土曜じゃん。二日酔いも治ったら、しよう?」
「明日…」
「うん。今度こそ好きにしていいから」
秋斗の目の色が変わる。納得してくれただろうか。聡太だって愛しい恋人の余裕なく乱れる姿の一秒一秒を目に焼き付けたいのだ。秋斗もそう思ってくれたら嬉しい。
「わかった」
長い思案のあと言葉を絞り出した秋斗は、でもひとつだけと言って聡太の手を握り、
「これどうする?」
その手を自分のいまだ萎えないペニスへ導く。
「…しょうがないな…」
言葉とは裏腹に、実は少し嬉しかった。しっかりと恋人の目を見据えながら手淫を開始する。 はあ、と呼吸を乱し始めた秋斗に、聡太がふふんと鼻を鳴らす。
「まじ…っ、明日泣かす…っ!」
悔しそうに声を絞り出した秋斗とは対照的に、聡太は弾んだ声で告げた。
「楽しみにしてるよ、ダーリン」
Fin.
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