夏のトライアングル
普通に大学生をエンジョイしていた俺。いきなり事件に巻き込まれる。まさか掘られる側とは本当に思わなかった。しかも相手は尊敬する先輩の兄?!
大学生1年生。少しずつ授業にも慣れてきて、はめも外したくなる時期だ。しかも、今日から2日間大学祭がある。余興あり!開放的になった女の子たち!!これは期待せずにはいられない。
開催当日の早朝6時。俺、狩野清(かりの せい)は、鼻の穴を大きく広げ、息も荒くずんずんと人もまばらな大学構内へと歩を進めた。
「おはようございまーす!!」
「おっ、セイか。おはよう。今日も元気だな」
ここは、バドミントン部の部室。まあ、俺は所属してないんだけどね。ゲーム仲間つながりで仲良くなったひとつ上の先輩、駛馬 恭(はやめ きょう)さんはイケメンで、告白してくる女の子たちをちぎっては投げているらしい。
「他の人は?」
「やっぱ、こんな出店のために学校きてやるやつなんかいねーよ。俺と、お前とあと、数人だな。しかも俺とお前以外はまだ来てねえから。ほんとに来てくれんのかね」
きょう先輩はため息を付いている。
「だいじょぶっすよ!俺が手伝うんで!!」
「おお?やる気だな~。そういうのは好きだぞ」
「俺も先輩好きです!」
気が逸り、すごいことをいってしまった。
「…?!そ、そうか両想いだな」
きょう先輩、すいません。
そのあと来た数人と連携して、無事時間までに店を出すことができた。しかし、一番下っ端の俺。ずっと店番。先輩方帰ってこねえし。
ちがーーう!!なんかちがう!!!せめてきょう先輩帰ってきてえ!しかし、きょう先輩はお祭りの実行委員でもあり忙しい身なのである。もしかすると、ずっと寂しく店番かも…
店番をしていると、視界の端にどんちゃん騒ぎをしている男女の集団がチラチラと見える。うおおお、さびしい!!いっそ、俺がこの出店の売上を一番にしてやるぜ!と、謎のエネルギーを燃やし、出店のメインである焼き鳥を焼いていたそのとき。
「ねえ、びーる。ちょうだい?」
呂律の回らないお客が来た。
くっそ、楽しみやがってと思いつつ、「はーい!一杯ですね」と、自分史上最高の笑顔で対応してみた。お金を受け取り、ビールサーバーからプラスチックのコップに素早く注ぎ、酔っ払いに渡すと、なんとその場で一気飲みされた。
しかもそのコップをぎゅうぎゅうと押し付けるではないか!ゴミ箱もってけー!!!
「きみ、そのコップ持っててよ。またここに来るからさ。それ魔法のコップなんだ」
ふにゃりと微笑みながらそう言い放つ。よく見たら、すごくイケメンではないか。凛としたきょう先輩とは真逆のふわふわなイケメンモテモテオーラを放っている。でも今日の俺はイケメンに厳しいのだ。(ただのジェラシー)
「えっ。魔法のコップ??よくわからないんですけど…捨てとけってことですか?」
「ちがうよ~、それ、魔法のコップだから、持ってたらいいことあるよ」
いや、これうちの備品なんですが。原材料、紙です。なんてつっこんでも、酔っ払いは話が通じないので「アッソウナンデスネ~」と目も合わせずに適当に流すと、イケメンはまたもやふにゃりと満足げに微笑み、人混みのなかに消えていった。
程よいエロ
とてもおもしろいです。続きは出さないのですか?
ユイ さん 2021年2月9日