ライバルは遊園地!? (Page 5)

 翌日、裕翔に連れてこられた場所は遊園地の施設内にあるお城だった。

 一般客は入ることのできないところに入り、カードをかざしてはエレベーターに乗る。

 そして『社長室』とプレートがある扉をカードキーで開けて簡単に入った。

「ゆ、裕翔?」

「連れて行きたい場所だよ」

「へ?」

 社長室は広く、園内を見渡せる大きな窓がある。

 多分、ここはお城の最上階部分だろう。

「え、なんで? へ?」

「この前、後を継いだんだ。レイの好きな遊園地を作ったのは俺の祖父さんなんだよ」

 はい?

 俺なんかスゴイことカミングアウトされてる?

 どこから突っ込んだらいいのかわかんないんだけど。

 でもとりあえず。

「裕翔! 俺を──」

「ダメ」

「うっ、まだ何も言ってないだろー!」

「働かせない。絶対にダメ、雇わない」

「なんで!」

 裕翔は俺を正面から抱きしめて、ニッコリと笑った。

「リスいなくなってもいいの?」

「リンたんが? なんで?」

「好きじゃないから」

 ひ、ヒドイ。

 社長のくせにリンたんを『リス』って言うし、しかも『好きじゃない』なんて酷い!

 『セックスを我慢しなくていいよー』って言っただけで、『日頃から意地悪していいよ』なんて言ってない。

 ってかやっぱり本性こっちか!

「あの、裕翔さん?」

「二度とリスに会えなくてもいいなら雇うよ」

「うっ…」

「どうする?」

「…わかったよ。家にいる、いるからリンたんは消さないで」

 そうなったら俺以外のリンたんファンが可哀そう。

 リンたんがいなくなるのは俺も超超超嫌だし。

「職場もわかったし、裕翔の帰りが遅くなるときだけ来てもいい?」

「ダメに決まってるだろ。こうなるから言いたく…」

「そうじゃない! 早朝から深夜まで働くときあんじゃん! 差し入れしたくても場所教えてくんねーからできなかったんだよ」

「……。わかった」

「じゃあ!」

「連絡してから来ること、俺以外と入園しないって約束でね」

「やったー!」

「言わなきゃよかったかな…」

「そんなことない!」

「はぁ…。レイは遊園地好きだからしょうがないよね」

 このことを聞いて大好きな遊園地が、さらに大大大好きになったことはナイショにしておこう。

 だって大好きな遊園地を守ってくれてるのは大好きな恋人で、大好きが増すのは当然のことだから。

Fin.

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