培養研究~異種交配に身を捧げた男~
「うぎッ!!」分娩台に横たわる男が呻き、雄膣から吸盤のついた触手がうごめく。科学界の権威、津野田(つのだ)のラボでは未知なる生命体の研究が行われていた。この異生物は、男の子宮に受精卵を植え付け、自身の子孫を孕ませるのだ。世界を救う研究のため、津野田は今日もまた新たな器となる男をラボへと呼び出していて――!?
「――あァッ!!凄い…頭見えてきましたァ!!母乳、先走って噴いてるぅ!!本当に…本当に私から産まれてしまう…これで私は世界を救えるのですね…あふ――あぐゥ!!」
「初産にしてはなかなかいいペースだよ、北林くん。子宮口も膣口も全開大になっているからね…この世のものとは思えないほど気持ちイイだろう?あとは君が絶頂に至るだけだ」
無機質な部屋には、何やら怪しげな実験器具が無造作(むぞうさ)に置かれていた。この部屋には窓がなく、ピカピカと点滅する豆電球だけが、唯一の明かりだった。
その部屋の中央に男が2人。1人は男だというのに腹が臨月を迎えた妊婦のように膨れ上がり、恐ろしいほどに発達した乳房からは、母乳と思わしき白い液体が天井高くまで噴き出している。彼が男である根拠を示すペニスは子供のように小さく、手の平で覆えば姿を隠してしまいそうだ。
男はまさに今、分娩台の上で“ある生物”を出産しようとしていた。
「乳輪真っ黒にして、なかなかにイヤらしい。早く母乳を吸わせてあげたいだろう?」
「うぎッ…あふぅ――んァアアアアアアッ!!!!」
博士と呼ばれた男が分娩台の背後から腕を回し、股を広げて横たわる男の乳房を鷲掴みにした。ぶるんぶるんと激しく揺すると、男は堪らず絶叫する。
「出るゥ!!出てきちゃうぅぅぅ!!」
この男、よく見れば腹や胸が女のように膨らんでいるだけではない。直径3cmほどのペニスと、ヒクヒクと閉じ開きを繰り返すアナルの中間に、もうひとつの穴…膣口が存在していた。その穴からは、ブヨブヨとした不気味な半透明の触手が見えている。どうやら、人間の赤ん坊ではないようだ。
「イけ!早くイくんだ!!」
博士は、上半身を台から起こし、吠え続ける男に痺れを切らしていたのか、彼のクリトリスに似たペニスを引き伸ばすようにして扱く。すると間もなくして――。
「うわァアアアアアアア!!!」
分娩台の手すりを掴んだまま、男の身体が宙に浮いた。それをすかさず、博士と呼ばれる男が押さえつける。
ブチュブチュブチュッ!!と淫(みだ)らな音を反響させながら、異生物は自身の触手で彼の膣口をこじ開け…ナカから這い出てきたのだ。
「ぐぁッ…――」
クラゲのようなそれは、あらぬ方向を向いたまま微動だにしない分娩台上の男の乳房に吸いついたかと思えば、8本の触手を器用に絡め…時折押し込みながらうまそうに母乳を飲んでいた。
「よくやってくれた、被験者19号。新たな“ジェリーパス”の誕生だ。これで君も一人前の助手だな」
――博士と呼ばれた男の名は、津野田義彦(つのだよしひこ)。日本で初めて【Gnius biologist(ジーニアスバイオロジスト)】を受賞した科学界の権威である。年齢は50を過ぎているのだが…見た目は30代前半といったところだろうか。
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