ストーカーの僕

・作

ストーカーの僕は羽田さんをずっと見つめていた。それだけで幸せだったが羽田さんから話しかけてきてホテルへ行こうと誘われた。怪しい魅力に誘われてホテルへ行くとそこで優しく襲われ、極上の愛撫を受けとろとろになってしまう…

僕はゲイだ。でも、男なら誰でもいいってわけじゃない。僕は男らしい人がすきなんだ。そう、僕の目の前にいる羽田さんみたいな。
僕はそっと影から彼の姿を見つめる。今日も一段とかっこいいなぁ…。
 
上下グレーのスーツにしっかり整えられた髪型。程よく鍛えられた体で抱かれてみたい。僕が女だったら彼に抱いてもらえたのだろうか、なんて考えながら彼を見ていれば不意に彼と目が合ってしまった。
 
そんなことを考えてしまう僕はもう、重症だ。
「あ…」
 
しまったと思った時にはもう遅い。彼はこちらへと歩いてくると僕の隣に立って話しかけてきた。
「やぁ、また会ったね」
 
爽やかな笑顔を浮かべて挨拶をしてくる彼に心臓が跳ね上がる。ああ…やっぱりかっこいい。
「ええっと、あの」
 
話しかけられたのはこれではじめてだ。ドクンドクンと脈打つ心臓をおさえつつ、なんとか平静を装いながら返事をする。
すると彼は嬉しそうな顔をして口を開いた。
 
 「名前を教えてくれないか?」
「え?ぼ、僕ですか?」
「ああ」
 
まさか自分だとは思わずびっくりしてしまった。こんな冴えない男のことを知ってどうするつもりなんだろうと思いながらも答えない訳にはいかないため、僕はおずおずと答えを口にする。
 
「は、飯田です。飯田和人…」
「へぇ、君の名前は和人っていうのか」
 
「はい…」
一体何のために名前を訊いたんだろう。

 
不思議に思い首を傾げていると彼が続けて口を開く。
「俺は羽田孝介って言うんだよろしくね」
「よ、よろしくお願いします!」
 
まさか自己紹介をしてもらえるとは思っていなかったので驚いてしまう。
「ところでさっき俺のこと見てなかったかい?」
 
突然の言葉にドキリとする。見ていたことを気付かれていたようだ。
恥ずかしくて俯きがちになってしまう。
「ごめんなさい…」
 
消え入りそうな声で謝ると、彼は優しい口調で言う。
「別に責めてるわけじゃないんだよ。ただちょっと気になっただけなんだ」
「すみません…その、羽田さんのことをずっと眺めていました…」
 
「どうしてだい?」
どうしてだって?それはあなたが好きで好きで仕方がないからですよ!とは言えずに黙り込んでしまう。
「ねぇ、どうしてなのか教えてほしいんだけど」

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