培養研究~異種交配に身を捧げた男~ (Page 7)

朔は初めての個体を出産後、続けざまに妊娠していた。どこかで自分が博士の一番でいたいという願望があったのかもしれない。すでに4体の親であり、あまりにもハイペースで妊娠を希望するものだから、津野田は彼を子供たちと同じ培養槽の中で飼育していたのだ。

「博士…早く精子ください…。博士のおち●ぽ、刺激し続けないとすぐ萎(しお)れてしまうので、物足りなくて――このままじゃ子供たちにも手を出してしまいそうなんです…」

朔は悲痛な声を出した。日に日に彼の多重妊娠願望は増していき、双子出産の次は3つ子や5つ子がほしいと言い出していたのだ。

『あの吸盤に膣ヒダ吸われて…大きくなり過ぎた子宮に限界まで受精卵を植え付けてほしいのです!!もう他の奴を雇わないで…私1人ですべてのジェリーパスの相手を務めますからァ!!』

そう言葉にしては、のたうち回る男を誰が“研究者”と認めるのだろうか。

「仕方のない奴だな。君の声に反応して、ジェリーパスが体内で受精卵を作り始めたじゃないか…今、巨大水槽を用意してやる。君はその中に入り、ジェリーパスと好きなだけ交配しなさい。僕はこれから有志の後援会へ行ってくるからね」

津野田はそう告げると、鬱陶しそうに着衣の乱れを整えて立ち上がり、ジェリーパスが入るそれぞれの水槽のロックを解除していく。すると朔がこれまで生み落としてきたジェリーパスの群れが唸り声を上げ…母体となる彼を巨大水槽に引きずり込んで、荒々しい種付けを開始した。

「あ!あァ!!私、親子交配してるゥ!!まだ生まれたばかりの子もいるのに!!でもイイ、イイのォ!!雄子宮に受精卵ほしいのォ!!緩みきった穴に腕丸ごと突っ込んで、もっと孕ませてェ!!」

こうして朔は秘薬の研究に大きく貢献することができた。

今年の科学誌に掲載されたラボの写真。そこには朗らかに笑う津野田と、スイカの何倍もあるような腹を抱える第一助手、朔の姿がある。北林を含めたその他の被験者たちは用なしとなり、記憶を抹消した上で解雇されていたのだ。今、ジェリーパスの器を担うのは、朔ただひとりとなっていた。

「博士…今日もお腹の子たちに、アナタの…お父さんのおち●ぽミルク与えてください…。安定期に入ったのだから、それくらいイイでしょう?」
「――仕方のない母親だな…軽く1回だけだぞ?」

写真に映る朔の腹のナカには、10体もの新たな命が宿っていたのである。

Fin.

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