そっくりな双子は恋人も共有する。 (Page 2)
ああ、やっと家に帰れる。
日付はとっくに変わっている。
そんなことを思っているとエレベーターのドアが閉まり、下の階へと向かう。
突然だった。
エレベーターの動きが停止し、目の前も真っ暗になった。
「えっ」
「あれ、停電?」
「やだなー」
そんな会話が聞こえてくる。
緊急通話ボタンを慌てて押したがなにも反応がない。
…なんてこった。
徐々に目が慣れ、周囲が見えるようにはなったが。
「ちょっと待ちましょうか。電気が復旧するかもしれませんし」
「そうだね」
そう答えたのは翼の方だった。
「ねぇ、君って可愛い顔してるよね」
振り返ると翔だった。
「あー! それ俺も思ってた!」
突然なにを言っているんだ?
だが容姿のことをよく言われるのは悪い気はしない。
「あっ、いや…ありがとうございます」
スルーするわけにはいかず社交辞令程度に返事をした。
「気に入った! …ねぇ、僕たちと一緒にセックスしない?」
…はい?
今なんて言った?
そう言ったのは翼らしく、翔は「いいね! いいね!」と手を叩いて喜んでいる。
俺は驚き過ぎて言葉が出てこない上、固まってしまった。
「んあっ…! んんっ!」
狭く逃げ道がないエレベーター内でいきなり翼にキスをされる。
壁に身体を追いやられ、身動きが取れない。
「おお、おちんちんも可愛いじゃーん」
いつの間にか翔に下半身をありのままにされ、子供のように笑われる。
やめてください、の一言も言えないほどの恐怖。
「本当に食べちゃいたいくらい可愛いね!」
「ひぃ…っ…やっ!」
下半身を飴のように舐め始める翔。
「俺もー!」と翼からも舐められる始末。
「やめっ…ひっ!」
嫌なのに男性としての生理現象で俺の下半身はどんどん上を向き、勃起していく。
「我慢しなくていいんだよ?」
「うん、出して? 気持ちいいでしょ?」
ふたりから優しい口調で言われるが無理やりな上、射精までしてしまうなんて耐えられない。
…誰か助けてくれ!
神に祈った。
するとその瞬間、エレベーター内の電気が付き、ドアが開いたのだ。
俺は猛ダッシュで逃げた。その場から逃げた。
ああ、神様ありがとう!
*****
翌日の目覚めは最悪だった。
俺はもう社会人だ。昨日あんなことがあったから、という理由で出社拒否なんてしたくないし、やられたこともやられたことで誰かに知られてしまうなんて耐えられなかった。
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