酔いどれオヤジと卑劣な親子丼 (Page 3)
「あ、あぁ!!翔!!かけるぅ!!」
父さんが俺の名前を呼ぶのが聞こえたのだが、卑怯な俺はドアの向こうへ出ていく勇気が持てず、足が竦むばかりである。
「んぐッ――おぉ、井波くん…息子の名前を呼ぶと締め付けが強くなるなぁ…私の精液欲しがってるんだねっ!!出すよ、ナカに出すよォ!!」
「うわあああ!!」
(き、気持ち悪い…)
父さんと重なっていた男の荒い声を聞いて、俺は自分の頭を抱えた。誰の声も聞こえなくなってからもう一度室内を覗き見ると――。
(信じられねぇ…)
アナルから男の白濁液をポタポタと垂らした父さんがピクリとも動かず、M字開脚状態で横たわっていた。
(早く助けねぇと…!!)
相手は俺の倍もあるような肉付きのよい男2人組。それに酔っぱらっているとなれば、手加減なんてしないだろう。だが、今父さんを助けられるのは俺しかいない…そう思うのだが、肝心の身体は金縛りにでもあったかのように動きやしなかった。
(なんでだ…なんでだよ!動いてくれ…向こうで父さんが襲われてんだぞ!!アイツらが凶器を持っているならまだしも、素っ裸なんだから、隙ぐらい作れるハズだろ!!)
なんとか己を奮い立たせようとした、そのときだった。
ブー…ブー…
「ッ!?」
寝巻き代わりに着ていた短パンのポケット内で、鬼畜オヤジたちに自分の居場所を知らしめるがごとく、スマホのバイブ音が鳴り響いた。
(こんなときに誰だよ?)
ちらりと目に映ったディスプレイには、“母さん”の文字。心配性の母さんのことだ。出張中のホテル内で俺と父さんが夕飯を食べ終えたのか気になり、電話したのだろう。彼女の愛すべき人…父さんが、今朝、団らんの時間を過ごしたリビングで犬のような遠吠えを上げ、上司にペニスを捩じ込まれていると知ったら、どんなに悲しむだろうか。それとも、俺のように汚らわしい目で彼を蔑むだろうか。
「おぉ!!うぎぃい!!」
戸の向こうにいる男は、最早“父”の面影などない。性欲に負けた狂人のようだったのだが――。
「誰だ、そこにいるのは?」
スマホのバイブ音に気付いたのだろう。課長と交互になるよう父さんに跨っていた男が、獲物のナカに何度目かの白濁液を吐き出してから廊下側に振り向いた。生贄になった男の腹は臨月を迎えた妊婦のように膨らみ、収まりきらなかったモノはピューピューと穴から噴き出している。辺り一面雄特有の青臭さが充満して、鼻を摘まみたくなった。
「部長、落ち着いて。翔くんですよ。貴方はそのまま井波と続けてください。可愛い彼の相手は俺がします…。ごめんなァ、翔くん。君のお父さんの喘ぎ声がうるさくて、起きてしまったんだろ」
「ひィッ!?」
聞き捨てならない言葉を吐きながら部屋から出てきた課長の男が、何事もなかったかのように恐怖で固まる俺の頬に触れた。べったりと頬に張り付く液体は恐らく精液だろう。
「か、翔!?そこにいるのか…父さんは大丈夫だから、お前は外に出ていなさい!!泊まれる場所ならどこだってあるだろう!!」
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