大失恋したら人生変わりました (Page 2)
「僕はこういう者なんだけど」
パッと目の前に名刺を見せつけられる。
暗がりの中、“AVプロダクション”の文字だけは読み取れた。
…こいつ、スカウトマンか。
「もしよかったら男優やらない?」
「え?」
「速人くんはエッチの演技上手いよ。本当はエッチ好きじゃないでしょ? でもすっごくエロかった」
…見透かされていたのか。
「女優、男優、なんて言うくらいだから演技の世界なんだよ、AVってのは」
「…」
「すごく売れると思うよ。いきなり主演は無理だけどちょっとやってみない?」
だが続けてこう言った。
「でもね、ただ射精すればいいって訳じゃないんだよ。監督が言うタイミングで出せる? 我慢できる?」
確かにそれをコントロールすることはかなり難しいと思う。
「やれます」
もうやけくそだった。
「へぇ、男優のスカウトなんてみんな嫌がるんだけどね。じゃ、とりあえず自分でオナニーしてみて」
僕は立ち上がり、スカウトマンにオナニーを見せつけた。
「まだ出しちゃダメだよ。撮影が押すことなんてザラだから」
そう言うと2本目のタバコに火を付け、吸い始めた。
「だから言ったじゃん。いつでも発射できるようにしてないとダメなの」
わざとなのかスカウトマンはゆっくりゆっくりタバコを燻らせている。
「だからってやりすぎると発射しちゃうよ?」
「うっ…」
僕は耐えた。こいつがよいと言った瞬間にものすごくド迫力のある射精をしてやると。
クックック…と喉を鳴らして笑うスカウトマン。
「今から3分後にタイマーを鳴らすから鳴った瞬間にぴったり出してね? わかった?」
「はっ…わかりました」
スカウトマンはスマホでタイマーをセットするとニタニタ笑いながら画面を見せつけてくる。
萎えてしまわないように、刺激を与えすぎないように力加減に気をつけて男性器をいじった。
「おっ、もうあと1分だよ?」
長いようで短い時間だった。
今だ、と思った僕は目を閉じ強く男性器をいじった。
あっ、と思った瞬間響き渡るタイマーの音と射精の達成感。
「…やるじゃん。よし、気に入った。プライベートでも楽しもうよ。可愛がってあげる」
*****
これが僕がAV男優になったきっかけ。
あのときのスカウトマン?
ああ、あの浮気されていた彼より最高に楽しませてもらってるよ?
Fin.
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