倒錯した愛~義兄弟の愛のカタチ~ (Page 2)
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「怜哉、ご挨拶して」
母に促され、一つお辞儀をしたのを覚えている。きっかけは母の再婚であり、正直なところもう良い大人になるのだから『好きにしてくれ』『義兄弟だかなんだか知らないが放っておいてくれ』と思ったのだ。
だが、その人は「こんにちは」と柔和な笑顔で優しく笑い愛想のない僕へ手を差し出した。その手を取ったとき確かに僕は恋をした。同性なのに。僕はそんな趣味はないのに。そう思ったけれど。
小さなころから、食べさせるのに精一杯で碌に構ってもらえず愛情に飢えていた僕は、兄となった達哉のその笑顔と柔らかな物腰でいろいろと世話を焼いてもらえるのが嬉しくて愛おしくて、その気持ちはまるで蕾が花開くかのように抑えきれずに、気持ちを伝えてしまった。
―――『気持ち悪い』と返ってくるものだとばかり思っていたが、返ってきた言葉は「ありがとう」だった。
僕の成人をきっかけに二人で家を出て暮らし始めると、お互いを貪り食うかのように求め合った。
互いの親の手前、万に一つでもバレてはいけなかったから。成人を理由に大学への通いやすさと達哉兄さんが一緒という事で認めてもらったのだ。
お互いがお互いを求め合い、愛しいと思い、身体を重ね続けた。
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