倒錯した愛~義兄弟の愛のカタチ~ (Page 4)
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いつの頃からか。
僕は兄さんを求めても求めても足りなくなってしまった。
「ひぎっ!れい、やっ!やめっ、でっ…!」
その白い肌に歯を立て。爪を立て。首を絞め…もちろん、加減はした。大切な愛しい兄さんが壊れすぎないように。
―――程よく、僕に、壊れて欲しかった。
「…かはっ!はぁっ…あ…」
苦しがりはしたものの、それでも、兄さんの身体は僕を欲し反応し、男性器を硬くさせアナルを引くつかせ、最終的にはその白く長い腕を伸ばし直接僕を抱き締め、中に欲した。
だけれども。
身体は欲してくれても、心は追いついてこなかった。
お互いに。
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腹の中に溜まるどろどろとした欲求。
そして、兄さんのよそよそしさと、それとは裏腹に行動の全てがいやらしく、誘うかのような思わせぶりな態度。
手に入れたいと願えば願うほど、手に入るのは身体ばかりで、吐き出した精液と共にどろどろとした欲求が流れるかといえばそうではなく腹の中に溜まっていく一方で。
―――今にも。壊れてしまいそうだった。
この倒錯した愛が、男女の様に実る事はない。
僕達は、迷い子なのだ。
「兄さん…ごめん、ごめんね」
「…いいよ」
そんなやり取りが常だった。
そして、今日もまた、そうなる予定だった。だけれど。
「兄さん、好…」
振り払われる、僕の手。そして、まずい、という兄さんの顔。
遅れて、ふわりと香る、知らない甘い、香り。
さあっ、と音を立てて血の気が引くのを感じ、腹の中のどろどろとした欲望が渦となり激情を生む。
「兄さん、どういうこと?」
「…なにが?」
兄さんは取り繕うが、もう、遅いのだ。
香水というのは簡単に移るものでは無いし、簡単に落ちるものでもない。つまりは、そういうこと。
「兄さんが、僕を置いていくつもりなら」
声が、震えた。
「僕は、兄さんを離さないからっ」
僕は、激情に任せて、飛び掛かっていた。
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