倒錯した愛~義兄弟の愛のカタチ~ (Page 6)
そうして、幾度かの仮眠を取っては快楽で責め、謝り、愛し、慈しみ。
懇願する瞳を前に、僕は兄さんの口枷を外し、問い掛けた。
「ねえ、達哉兄さん。どうして僕じゃ駄目だったの?僕を、一人にしないって…約束したじゃないか」
答えを、聞こうと。
この倒錯した愛に答えを出そうと。
ぽろり、と頬を伝う熱い涙が、一つ零れ落ちた。
「れいや…」
しわがれた、声。
ああ、僕が、こんな風に壊してしまったのだと胸が痛んだと同時に、酷い興奮を覚えた。
「…おれは、おまえを、1人にするつもりは…ない…」
その言葉に、ぽかん、としてしまう。
だって。
だって。
「だって、兄さんが…」
「おれも…こたえが…しりたかったんだ」
兄もまた、1人の男で。
1人の人間として。
思い悩み。倒錯した愛に、苦しんでいた。
「きず、つけたのはじじつだ…けど…こわかったんだ」
お前に、怜哉に、嫌われるのが。と、小さく吐露した。
「ああああああああぁぁぁ、兄さん、兄さん、ごめん、ごめん…」
わたわたと、拘束を解き、抱き締める。すると、ゆるゆるとした動きだけれど、抱き締め返し、その手で僕の髪を撫でて囁くのだ。
「大丈夫、怜哉が、好きだから。愛してるから。優しく、でも…怜哉を俺に残して?」
と誘うのだ。
泣き出す僕の涙を舐め取り、誘う様に。
その身を横たえ、脚を開く。
ゆっくりと、誘われるように。中へ。
「ふっ、あぁ…」
「にい、さん…」
「あつ、い…れ、いやの、すご…い…」
ぎゅう、と締め付けられるのを感じながら、僕は兄の首筋を噛む。
僕の、痕跡を残すために。
「ひあっ、あぁんっ、くび、しゅき、ぃっ」
しがみつき、背に爪を立てられる。兄もまた、僕へ痕跡を残すために。
―――この倒錯した愛に名前はない。答えもない。
「ひぎっ、いあっ!あっ!おくっ、いいの、いぐ、いっじゃう…!」
「まだ、だめ…まだっだよっ」
ぐちゅぐちゅと激しい水音と。激しい息遣い。
愛しさと切なさが胸に広がる。
元々。愛に決まった形や名前は無いのかもしれない。
正解や基準も無いのかもしれない。
普通とは普遍であるように。愛もまた普遍である。
強く抱き締め合い、絡み合い、強く強く、腰を打ち付ける。
「あっ…らめっ、いく、いくぅうう!!!」
「僕も…イク、イク…!」
一際大きく、強く突き上げ、お互いが軽く痙攣しながら抱きしめ合う。
溶け合う体温が、呼吸が、匂いが、絡み合う視線が、腕が。全てが心地好く。
「愛してる」
幾度となく重ねた身体なのに、今初めて繋がったかのような、幸福感と高揚感を胸に、僕達は1つになった実感を胸に、倒錯した愛に溺れる。
「ずっと一緒だから」
愛に、溺れよう。そう、決めた、春の一夜だった。
Fin.
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