今夜の客は、前世の恋人でした (Page 3)

「そこ…ンぁあ…」

「腕に爪立てる癖、変わってないのな」

「ごめん、なさい…」

「いいよ。生まれ変わっても、リョウがリョウのままで嬉しい…」

 リョウの中を掻き回していた指が抜け去ると、代わりにあてがわれたのは熱の塊と化した剛直。詰めていた息を必死に吐き出しながら、リョウは期待と不安に満ちた混沌に早くも瞳を潤ませていた。

「あぁッ…はぁッ…アキ、くんッ…」

「やっとちゃんと思い出せた感じ?」

 誂(あつら)えたかのような肉棒は、リョウの胎内を余すことなくずっしりと埋めていく。痺れるほどの官能がアキヒロの唇からリョウの全身へ、リップ音とともに駆け巡っていった。

「ッンぅ…は、ぅ…」

「リョウ、俺のこと呼んで?」

「アキくん…アキ、くん…好き…すき…」

「俺もお前が好きだよ。ずっと探してた…やっと、会えた…」

 アキヒロの想いは雄の欲望と混じり合って、律動のたびにリョウの心へと刻まれていく。前世の記憶に不安定に揺蕩(たゆた)いながらも、リョウはかつて二人で育んでいた愛を掴み取って抱き締めた。どうして忘れていたんだろう、こんなに大事な人なのに。

「ごめんね…ごめんね…アキくんの、こと…」

「俺も、リョウの写真見つけるまで忘れてたからお互い様だって…」

 奥を穿たれるたびにリョウの喉からは嬌声があがり、アキヒロの背中へ縋る手には力がこもった。二人の涙に濡れる唇を幾度も重ね、より深くまで繋がって熱情を分かち合う。

「イ…イッ、く…イくぅ…」

「顔見せて? リョウ、一緒にイこうな」

「アキくん…アキくんッ…ッはぁ、ぁぅ…だめ…ぁ…あぁぁぁぁンンッッ…!」

 跳ねる体に痙攣する肉筒、仰け反る喉は言葉を忘れてリョウの意識は揺らいでいく。孕みそうなほどのアキヒロの熱はどくどくと脈打ち、名残惜しむようにリョウの内側へと擦り付けられていた。

「アキくん、だめぇ…あ、ぁッ…そこッ…」

「可愛い…かわいいね、リョウ」

 垂れ流していた白濁を押し出すように、リョウの中心からはぴゅっぴゅと潮が噴き上がる。生温いそれに羞恥を煽られながらも、リョウはアキヒロの下でとろとろに感じ入っていた。

「お店…辞める…」

「うん、そうして。リョウがいいなら、一緒に住もう?」

「ここで?」

「ここでもいいし、もっと広い部屋探してもいいし」

 まるで夢みたい、まだ実感が湧かない。そう呟きながらリョウはアキヒロの胸に頬を寄せ、彼の心音に耳を傾けた。ゆっくりでいいよとリョウを抱く腕は相変わらず逞しく、心地良さと愛しさが募っていく。二人の新たな門出を祝うように満ちる月を眺めながら、リョウはアキヒロの頬を優しく包んで、その唇に口付けを贈った。

Fin.

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