憧憬の肖像
ずっと憧れていた先輩に、デッサンのモデルを頼んだことから始まった夕方からの秘めごとの時間。あいまいな関係に名前をつけたい後輩と、それをかわす先輩。気だるくじれったい、とある美大生たちの秘密の関係を描いていく。
絵の具や石こう、木材の香りがただよい、夕刻の橙色(だいだいいろ)の光がカーテンの隙間をすり抜けて僕たちを照らした。
蛍光灯を消したその空間は陰陽がはっきりと浮かび上がり、彫刻のようなその美しい肢体を際立たせている。
無造作に置かれたイーゼルが、まるで僕たちを世界から隠してくれているような気がして少しの安心感を覚えた。
さっきまで体に巻いていた雪原のような白い布は今は床に広がり、なにもまとっていない先輩の色素の薄い体を受け止めている。
「っ、はぁ…ぁ…ッ…碧(あおい)…」
「先、輩…っ…どうして、ほしい…?」
窓の外、遠くから微かに聞こえる運動サークルの声や、楽器の音以外は聞こえない静かな部屋に二人の呼吸音と淫靡な音のみが響く。
乱れる呼吸に溶けるように控えめに喘ぐ燈也(とうや)先輩は、さらなる快感をねだるように僕を見上げてくる。
いつも僕ばかり余裕がなくて少し癪(しゃく)だから、今日は軽く意地悪してやろうと、自分からねだらせるために問い掛けた。
「もっと…ッ…はぁっ…奥…っ…」
その言葉を合図に先輩の腰を浮かせるように掴み、先端で奥をノックするように幾度も突く。
「先、輩…っ…先輩…ッっ…」
美しい顔を快感でゆがませ、せり上がり始める射精感から逃げるように体をうねらせている。
それを間近で見られる優越感と興奮、なのに完全に手に入れられないもどかしさに腹の底でふつふつと怒りが湧いてくる。
八つ当たりをするように、さらに辱めてやろうと先輩の細い足首を掴み、肩にかけさせると結合部を見せつけながら大きく腰を振る。
「ねぇ、先輩…っ…ここ、見える?先輩のここ、僕の咥えて離さないよ…」
「はっ、ぁ…み、見せないで…ッ…」
そう言って目を閉じてしまった先輩に、このいら立ちをぶつけるように腰を打ち付けた。
やがて先輩は絶頂を迎え、僕も後を追うように中へと熱い欲をぶちまけた。
それでも収まらず、一度自身を抜くと先輩を布の上にうつ伏せに寝かせる。
そして、腰を持ち上げるように掴むと呼吸を整えるのも待たず、再び後孔へ熱を持ったままのそれを奥まで一気に挿入した。
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