廃墟探検~強姦魔地縛霊ハ愛ニ執着スル~ (Page 7)
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「勘弁してくれよ、竜。ゴム突き破って中出しするなんて…」
「ゴムが破れたのは、俺の所為(せい)じゃねぇ。お前…ナカに出してほしくて根本まで被せなかっただろ?」
殺風景な部屋に都合よく設置されたダブルベッドは新品のものに替わり、その上に仰向けとなった俺は、横に座る彼から精液で満たされた腹を撫でられていた。ベッドの周囲には竜の体液が閉じ込められたゴムやローションが散乱している。これらがすべて幻影であるということを、俺はどこかで気づいていた。
「亨、俺はお前が好きだ。もうお前を源人の代わりなんかと思っちゃいない…亨自身が好きなんだ」
竜の声が頭の中で反響する。彼の瞳は慈しみに溢(あふ)れていた。
「俺も竜のこと…好き。源人みてぇにお前を裏切って、1人にさせたりなんかしねぇ。“どこへでも”付いていくよ…」
ようやく口に出せた本音。竜はこの言葉を望んでいたハズなのに…彼の表情が強張(こわば)ったように思えた。
竜は恋人に対して強い執着心をもつ男である。
その執着心は寂しさの反動であることを俺は理解していた。だから彼の頬を両手で包み、震えの止まらないその唇に『心配すんな』とキスを落としたのだった。
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『――正午のニュースをお伝えいたします。解体作業中のマンションの敷地内から、20代とみられる若い男性の遺体が…これらの観点から、この遺体は先月から行方がわからなくなっている大学生、郷古亨さんとみられ…』
悲痛な面持(おもも)ちで原稿を読み上げるアナウンサーの声が、俺のもとへ届くことはなかった。
Fin.
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