道化師のギャロップ~上がって落ちて突き上げて~ (Page 4)

店を出て、二次会の話になったころにはヘロヘロに酔っぱらった者、遠方で終電が危うい者などで人数も減る。

俺は正直お酒も入っていないためか、そこまで楽しくもなく行くかどうか迷っていた。

視線で先輩を探すと酔いつぶれた仲間をタクシーに押し込んでいた。

世話焼きなのも相変わらずみたいで、また胸の奥が温かくなる。

ひとしきり片が付いたところで先輩も二次会に誘われていたが首を横に振ると俺の方へ来て肩をポンと叩きながらみなの方を向く。

「久々の再会を楽しませてよ」

そういわれれば誰も引き留めることは出来ずにその場で別れた。

「さてと、色々聞かせてもらおうか」

そういった先輩は目が笑ってない。

そりゃあそうだ。あんな別れ方、いや、別れたのではない。俺が一方的に逃げたのだ。

結局先輩の家へ強制連行された。つか、先輩、結構飲んでるな。

部屋に着くなり先輩は冷蔵庫から缶ビールを出して、俺にも一本手渡した。

ソファに座る彼は隣をポンポンと叩いて俺に来いと促す。いや、命令だ。

少し間を開けて座ると、缶をテーブルに置き肘を自分の膝に立てて頬杖をつく先輩が顔を覗き込んでくる。

「で、なんで俺、フラれたの?」

先輩、目が据わってます。

「いや、その…フったっていうか…」

しどろもどろになってしまう。

「…すんません!俺が、逃げちまったんです!約束守れなくて…情けなくて…!」

つい大声になるとそのボリュームに驚いた先輩は目を瞬かせていた。

そして、ぽつりぽつりと情けない俺の話をしているうちに、更に情けないことに目から涙があふれてきた。

「あ、れ…?す、すんません、俺…」

止めようとするほどとめどなくこぼれていく涙を手で拭っていると、ふわりと抱き締められた。

「…ばか。そんなの気にしなくてよかったのに」

少し拗ねたような声。

そして、するりと頬を撫でられ唇が重なった。

久々の弥耶さんの唇。柔らかくて心地いい。

そのまま、彼の舌で唇を割られ、口内をまさぐられる。

「んっ…む…」

溺れるような感覚もいつぶりだろうか。

こちらも夢中になって舌を絡め、吸って、甘噛みし、口付けを堪能するとどちらともなく一度顔を離した。

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