一度だけでいいから、振り向いて。 (Page 3)
「あっあっ、ごめ、こえでちゃ」
「いいよ、おれも…ッ」
吉住は自分の手の中に必死に腰を打ち付けている。
その動作に俺は、興奮した。
俺のだらしなく先走りを飛ばすやらしい巨根を使って、吉住は必死で自分のえろい竿と合わせて、離すまいと、力強く握っている。
吉住は、俺の前でオナニーしているも同然の醜態だ。
仲間内では3番目くらいにプライドが高そうな吉住が、俺に醜態を晒している。
普段すかして、女の子とヤリまくってるチャラ男なのに、こんな恥ずかしい姿は俺しか知らない。
情けない姿を、仲間内で知っているのは俺だけ。
「っふっあ、ッア、っ、ぁア、あ」
絶頂に近い。吉住もイキたいのかスパートをかけるようにピストンが強くなる。
俺を見下ろして喘ぐ。小さいさくらんぼのような乳首が立っている。
「ぅうううッ」という呻き声で吉住が果てた。
果てても吉住は腰を止めることなく、俺がイクまで腰と手を止めなかった。
数秒後、俺も追いかけるように、自分の上に吐き出された吉住の精子の上に射精した。
―――アイスクリームみたい。
なんだかそう思うと、泣けた。
*****
事後、腹の上にかかった二人分の精子をぬぐっていると、
「ふふ、今度はフェラしてよ」
と言われた。
「男と女の口の中違うか知りたい」
と吉住が冗談のように笑う。
吉住は根っからの最低野郎だとは思う。性に従順なのだ。
吉住に呼ばれるならフェラなんかいくらでもする。
そう思ってはいるけど―――――
“事”が起きたあとはまた何事もなかったように話さない日常が戻った。
それでも一度だけあの後、みんなの目を盗んで吉住が俺にアドバイスをした。
「おまえってさ、顔きれいだよね。もっと前髪短くしたら、女の子にモテんじゃね?」
「よ、よしずみは」
「ん?」
「よ、しずみは…俺の前髪短いほうがいいんだ‥ね」
「うん。お前、自分で思ってるよりイケメンだよ。だって、俺の勃ったじゃん、お前の顔見て勃起したから、大丈夫」
あれから、吉住から誘われることはない。
吉住は女の子が好きで、いわゆるヤリチンだ。性格もさほどよくない。
でも、俺は吉住が好きだ。彼は努力家で探求心がある。
場の空気が悪くなったときは率先して悪役に回ったり笑わせたりする。
このことに気づいているのも俺だけと思うと嬉しくなる。
吉住は、仲間の集まりにもだんだんと来なくなっていった。
特定の彼女でもできたのだろうか。
それでもまだ、俺はいつもと同じ帰り道を何も知らない仲間たちと連れだって狩りに出かける。
そして一人だけ、俺はまたあのアイスクリーム屋の帰りみたいに
また吉住に誘われることを期待している。
何事もない顔をしたまま。
Fin.
最近のコメント