障子の奥で (Page 3)

「あ〜…よかった〜…」

緊張が一気に解け安堵の溜め息をつくのも束の間、やっさんの白い指が襟元に伸びてきて呼吸が止まる。

「ただ、ここもう少し緩めても綺麗に見れるかも」
「………っ」

首筋に指先が触れた。
たった一瞬、ほんの数ミリ触れただけなのに身体に火をついたように熱い。
弾かれたように顔を上げると目の前にあったやっさんの瞳と視線がぶつかった。
それは驚いたように瞬き深いところで微かに揺れる。
堪らなくなり唇を寄せると避けられることなく重なった。

「……んっ…」

押し当てたそこはやはり熱く鼻から抜けるような吐息が俺を昂らせる。
着物に隠された細い肩を掴んで角度を変え何度も唇を押し当てると白い指が頬に触れた。

うっすら目を開け様子を伺うと目を伏せまつげをたっぷりと携えたまぶたが微かに揺れている。
気のせいだろうか。
いつもはきちんと着込まれた襟元が少しだけ誘うように緩んで見えた。そこから覗く色の抜けたような首筋がほんのり桃色に色づいている。
暑さのせいだ、と頭の片隅では理解していてももうブレーキが効かない。

やっさんの帯のすぐ上に腕を回し引き寄せて若草色の畳の上にゆっくりと横たえる。

「…嫌だったら逃げて」

薄く開かれた目を見下ろせば少しだけ戸惑うように逸らされた。
それでもやっさんの投げ出された指が俺の紺色の裾を小さく握るものだから目の前の白い首筋に噛み付いた。

*****

「……んっ……はぁ、…っ」
帯の結び目に指を忍ばせ解すと、合わせ目が緩んだ。
1ミリ、また1ミリと隠された肌が露わになっていく。

笹の葉の揺れる音、二人分の衣擦れ、そして荒い呼吸が煩い。
長襦袢ごと薄い藤色の長着を広げると薄い肌着が邪魔をした。
薄い白の中に肌が透けて見える。
思わず喉を鳴らしてしまうと下から小さく笑い声が聞こえた。

「……笑うなよ」
「はは、…ごめ、いや、だって、すごい顔してんだもん」

くふくふと笑うやっさんの鎖骨に小さく歯を立てるとピクンと震えた。
噛んだところに舌を這わせながら肌着のひもに指をかける。
あと一枚、この一枚を剥げば白い首筋、この鎖骨に続く身体がある。
そう思うとすでに起立した剛直にさらに血が集まっていく。

そこはしっかりと着物を押し上げていて。それを誤魔化すように馬乗りになっていた身体をやっさんの脚の間に割り込ませた。
すると解いた肌着と着物がはらりと畳の上に落ちていく。

「…あんま、見んなよ…すけべ」

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