画商は画商の夢を見る ~好敵手は恋人?~ (Page 3)
「ここで感じる、んだな、トモヨシ。じじいどもにこんな身体にされたのか? くそ、もっと早くにお前を抱けばよかった……!」
違うという否定も手の平に押し潰されてまともな声にならない。
身をよじる間にも熱い手が露わにした太ももを撫で、脇腹をくすぐって下着を引きずり下ろした。
こんなの最低だと思う一方で、顔を真っ赤にして襲いかかるフィルデナンドの必死さに心がざわつく。
「……ッ ぃ、ぐ、ぅ、ふぁ、ぐっ ふぃる、で、な、……ッ」
「あぁ、胸、すっかり堅くなったな。……こっちもこんなになってる」
「!」
性器を大きな手の平に包まれて全身が跳ねた。
乱暴にされるかと思ったがフィルデナンドの手は丁寧で、全体をやんわりと擦りながら胸をじゅっと吸い上げる。
はぁと熱くなった息を吐き、智義は優しく引き上げられる愉悦に藻掻いて大きく首を振った。不意に指が後ろに押し当てられ、ぎくっと肩が跳ねる。
「ふぃるヘ、ひゃんと!」
咄嗟に大声をあげて全力で暴れるが、なぜかフィルデナンドは小さく笑っていた。
するっと柔らかく指の腹で撫でられるだけで全身が強張る。
やがて濡れた指がずるっと入り込んでつま先が突っ張った。
「こっち、使ったことあるんだな、トモヨシ。……柔らかいぞ」
「!」
全身がぞわぞわと震えた。
秘密を暴かれた恐怖と言い知れない高揚に襲われ、智義はさらに首を振りながらやめろと藻掻く。
男を抱くのが好きだと言ったイギリス人の恋人は智義の身体を胸でも後ろでも感じるようにすっかり変えてしまった。
あの時の気持ちよさを思い出して身体がもっとと求め、その一方でさらに誤解された苛立ちに顔がゆがむ。
「も、止めろ! なんで、こんな、フィルデナ、ぁ、……はぁ、アッ やだ……!」
「指に吸い付いてるぜ、お前の中。きつく締め付けてくる、し、……こいつは確かにいい身体だ」
「!」
まるで身体が前立腺の場所を彼に教えたようだった。
すぐさま探り当てられた前立腺をぐいぐいと押され、弾けた愉悦に智義は喘ぎながら必死に腕を突っ張る。
体格で勝るイタリア人はそれをあっさりといなし、不意に指を引き抜くと、どこかから取り出したコンドームの袋を口で開けて自分の勃起した性器に被せた。
「いいよな、智義。こいつはジェルついてるし、俺はセックス、うまいから」
「ふ、ふざけ、るな、俺、俺は――」
「お前が欲しがってたアメリカのアータートンの絵、売ってやるよ」
「え?」
フィルデナンドがイギリスで落札した前衛作家、アータートンの絵はのどから手が出るほど欲しかった一枚だった。
襲われながらも反応してしまった智義にニヤリと笑い、フィルデナンドは両手で膝裏をすくいあげた。
しまったと思ってもすでに遅く、イタリア人は智義の腰の下に自分の上着を押し入れ、のし掛かってくる。
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