ページをめくる細い指
本屋で働く野崎律樹は真面目な性格で、本をこよなく愛している。そんな本にしか興味がない男の前に現れた後輩の藤田優によって新しい扉が開いていしまう…。可愛いワンコな後輩の攻めにタジタジ。ノンケである先輩野崎はこれから一体どうなってしまうのだろうか…!?
「ッん…!!ちよっ、ちょっと待て…!あっ、まてッ…て!!!」
「え~?全然待ってほしそうな顔してないですよ?…むしろその顔見てたらもっと…したくなっちゃいますよ?」
「ちっっ…違うっ!ほら!明日は朝早くから入荷する本が多いからっっ…うッ、あぁぁっ、やめっっ…」
「ん~??なんですか~?ここですか…?先輩ってホント可愛いですね」
「はい!おしまい!!とっ、とりあえず今日はここまで!明日早いんだ!お前も早く寝ろよ!」
「はいはい、わかりました。もう寝ますよー!ってか今日はここまで?」
「…」
「寝たふりですか?ふっ…先輩いい匂いします。太陽の匂い…」
「…」
「今日の分、休みの日に思いっきりしましょうね」
「っっ…!」
*****
俺は野崎律樹(のざきりつき)、28歳の書店員だ。
黒髪のツーブロックヘアで身長188㎝の細マッチョな俺は、よく友達から外見と中身が合わないとからかわれていた。
パッと見、切れ長で鋭い目つきが怖いらしい…。
体を鍛えるのは息抜きにもなっているから続けているだけだけど、真面目な性格ゆえいい体に仕上がっている。
そして、その意外に見える原因が大の本好きだということ。
小さい頃から読書が好きで、放課後一人でよく図書室に残ってずっと本を読んでいた。
だから本屋に就職したのは自然な流れで、毎日、本の匂いを嗅ぎながら仕事ができるなんて幸せだ!
そんな俺の穏やかな日常を変えたのが…。
藤田優(ふじたゆう)。
最近入ってきた新人で、元気いっぱいの25歳。
第一印象は小柄で柔らかそうなはちみつブラウンの髪にまんまるな目、いわゆる可愛い系な男子って感じ。
俺が勤める書店はそこそこ大きく昼間でもお客さんがひっきりなしだ。
藤田は甘いルックスとまぶしい笑顔ですぐに同僚からもお客さんからも人気者に。
長く勤めている俺が新人の世話係をしていて、今回もその担当だ。
人懐っこくて素直だから仕事を教えるのはかなりスムーズですぐに仲良くなっていった。
正直一人で黙々と作業するのが好きなんだけど、こいつはそんなのお構いなしに何かとくっついてくる。
「野崎さん野崎さん、この本はここに陳列でいいですか?」
「ぁあ、いいよ。それ終わったら隣の段ボールに入ってるやつ並べてくれる?」
「了解です!…野崎さん?」
「ん?どうした?場所わかんない?」
「えっと、これは成人コーナーですよね?」
「そうだな、そっちで平積みしてくれる?新刊だからさ」
…返事がない。ちゃんとわかるかな、一緒に並べに行くかと藤田の方を振り返った。
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