幼馴染の拗らせが転生しても治りません!
高校生のとき、お互いを好きだと知った秀斗と夕貴。大学生になるとデートを重ねる関係になれたのだが…不慮の事故に遭い、秀斗だけが命を落としてしまう。適切な処置を行えなかったと悔やみ続ける夕貴の前に「死んでも性欲は消えねぇみたい」と下半身を露出した秀斗が現れ、不可思議なことを告げてきて!?
「しゅうと…だめ、そんなトコ…!」
「だめ、じゃねーだろ。お前だってち●こ勃(た)たせてんじゃん。アナルに挿(い)れられんの、期待してんだろ?」
壁も天井も一切ない白い部屋。中央に置かれたベッド上に俺と、1ヶ月ほど前に死んだ彼がまぐわっていた。
どうしてこんな展開になってしまったのだろうか。話を少しだけ戻そう。
*****
彼――秀斗(しゅうと)とは幼稚園からの付き合いだ。お互い異性愛者なのに…高校生のとき、クラスメイトの女子に告白されたと浮かれる彼に激しく嫉妬(しっと)して、俺は自分の気持ちに気づいてしまった。
だが、こんな感情伝えられるはずもない。ただの友人として、カップルの誕生を喜んでやらなければと無理をし、寝込んでしまったのだ。
そしたら顔も合わせたくない相手である秀斗が、俺の部屋へと上がり込んできて、『まったくゆーきはガキんときから身体が弱いんだから…』とスポーツドリンクやら、冷却シートやらを並べて甲斐甲斐(かいがい)しく世話を焼いてきたのだ。
正直、あいつを家に入れた母さんをうらんだ。恋愛感情を抱いている奴に優しくされてしまったら、心の整理なんてつけられるワケがない。
「38度5分…苦しいよな?頭抱えてやるから、水分取れよ。朝からトイレにも起きてこないっておばさんが心配してる。母親相手じゃ頼みにくいんだろ?俺が下まで連れていってやるから――」
まったくもってお人よしだ。身長165cmで成長期が止まった俺と、180cmまで育った秀斗では体力の差もある。それなのに、ご機嫌取りのようにコテンとこちらの頭にアゴを乗せてくる秀斗が可愛くて、心臓が破れてしまうのではないかと思うくらいドキドキする。
「お前…そんなに甘えたいんだったら、彼女にやってやれよ…」
そう咎(とが)めては彼を引きはがすのだが、秀斗は『うーん…まぁ、な…』とキレの悪い返事をしていた。
「カゼうつしちゃ悪いから…もう帰れ…俺は大丈夫」
病院も午前中に行ってきたことだし、薬も飲んだし、あとは充分な休息をとるだけだ。彼が買ってきてくれたドリンクも、少し口に含んだだけで戻してしまい、申し訳なくて仕方なかった。
「ハァ…ハァ…」
次第に息まで苦しくなってくる。熱が上がったのかもしれない。
「ゆーき、すごい汗だな…一旦脱げよ。おばさんから着替えをもらってきたんだ。身体も拭いてやるからさ」
「!?」
そう言いながらパジャマのボタンを外し始めた彼に驚き、熱にうなされていたことなんて忘れて飛び起きた。
「な、なにすんだよ…!!そんなこと、頼んでねー…」
彼が外したボタンを留め直そうと指を動かしても、力が入らず、身体がグラついてしまう。それを見かねたのか…秀斗が俺を背中から抱きかかえるようにして、ひとつずつ留めてくれた。
「…近いって!!」
秀斗は昔から距離感を考えない奴だった。この性格をしているからこそ誰とでも仲良くなれるし、女にもモテるのだろうが――そんな彼の長所ですら、俺を苛立(いらだ)たせていた。
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